両側柱型付壁の増し打ち補強の耐力低減係数の指定について教えてください。 [文書番号 : DOCR00814]

概要
耐力低減係数の考慮について回答します。
回答
部材耐力の計算方法について
DOC-RC/SRCでは、強度指標および靱性指標の計算方法として「SCREEN」で定義している鉛直部材とセグメントの考え方を採用しています。1つの鉛直部材を構成する柱、壁などの長方形断面要素をセグメントと呼び最大7種類のモデルにモデル化します。モデル化に当たってはセグメント毎に部材を平均化します。両側柱型付壁(以降、耐震壁)に配置した増し打ち部についても壁版に平均化して考慮しています。
※計算方法の詳細は後述のDOC-RC/SRC Ver9 概要編マニュアルをご参照ください。

耐力低減係数について

 曲げ耐力低減係数について
 増し打ち補強を考慮した曲げ耐力(以降、Mu)に、増し打ち補強で指定した曲げ耐力低減係数を乗じ低減します。

 せん断耐力低減係数について
 増し打ち補強を考慮したせん断耐力(以降、Qsu)に、増し打ち補強で指定したせん断耐力低減係数を乗じ低減します。

 軸方向耐力低減係数について
 3次診断時のみ有効となります。1次、2次診断時は指定されていても無効となります。


例えば『耐震壁に増し打ち補強を配置し、側柱の左右に増設そで壁を配置、耐力低減係数が増し打ち補強壁版、左右の増設そで壁のそれぞれで異なる場合』を上げ説明いたします。

・曲げ耐力低減係数について
増し打ち補強で指定した曲げ耐力低減係数を増設そで壁付の耐震壁のMuに乗じます。
左右の増設そで壁に指定した曲げ耐力低減係数が異なる場合は比較し小さい値となる低減係数をさらに乗じ
曲げ耐力低減係数を二重に考慮しています。

・せん断耐力低減係数について
左右の増設そで壁のせん断耐力低減係数が異なる場合は、各そで壁部のせん断耐力(sQsu)に指定に応じた低減係数を乗じ耐震壁のQsuに加算しています。さらに、sQsuの合算されたQsuに増し打ち補強壁版に指定された低減係数を乗じます。


【注意】
下記についてご注意ください。
2017年版既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震改修設計指針・同解説 『3.1.6 既存壁の増厚による補強の計算法』では増厚壁の耐力算定式、あと施工アンカーを考慮した耐力の計算方法等が記載されていますが、DOC-RC/SRCでは対応していません。2017年版を選択した場合でも、2001年基準の記載に応じ既設建物と同様にそで壁付き柱のせん断終局強度算定式を用いています。

・増設壁符号のせん断耐力低減係数は、2001年版RC造耐震改修設計指針同解説 105頁 「解表3.1.5-1 一体打ちに対する増設壁のせん断耐力低減係数」を参照し省略値を『0.9』としています。

・モデル化条件:耐震壁とする壁厚( t )の条件『12㎝未満(または、tがh/30に満たない)の壁の扱い』 についてDOCRC/SRCでは、指定は無効となります。既存壁の厚さが10cm以上であれば耐震壁の判定を行います。

・偏心率計算時に用いる部材の割線剛性には上記の耐力低減係数を考慮した耐力を用います。


【出力】
グラフィック出力
項目:10.1.1 部材の終局強度と靭性能

終局強度の個別計算結果(CSV形式ファイル)
[耐震診断]→[CSV形式ファイルの出力]→[終局強度の個別出力]より
確認する検討方向、柱・壁にチェックを入れ、部材の配置軸を指定し[OK]を押します。
計算に考慮した耐力低減係数、耐力の計算詳細を確認できます。

耐震壁のモデル化の確認方法
[ウインドウ]→[応力図]より応力図が表示できます。
右クリックし、ショートカットメニューの中から「応力図の表示設定」により表示を切り替えることができます。耐震壁(連スパン耐震壁)についてモデル化の状態を確認できます。

操作
増し打ち補強壁に考慮する耐力低減係数の指定
[耐震診断]→[補強部材]→[部材補強番号]→〔壁〕タブより
耐力低減係数曲げ(省略値:1.0)、耐力低減係数せん断(省略値:0.9)を指定できます。

増設そで壁に考慮する耐力低減係数の指定
[耐震診断]→[増設部材]→[増設壁、ブレース]→〔増設壁(RC、SRC)〕タブ より
曲げ耐力低減係数(省略値:1.0)、せん断耐力低減係数(省略値:0.9)を指定できます。

F値、破壊タイプの直接入力
[耐震診断]→[部材指定]→[F値の直接入力]→〔壁・ブレース・増設壁〕タブ より破壊タイプ、壁・ブレース・増設壁のF値(個材)により指定できます。
※連スパン耐震壁は一連の壁にモデル化されます。直接入力値は伏図上では一連の壁の左寄りまたは下寄りの壁に指定してください。

壁耐力の直接入力
[耐震診断]→[部材耐力]→[壁耐力直接入力(2次診断)]より曲げ耐力、せん断耐力を指定できます。
※開口周比≦0.4となり耐震壁となる場合のみ有効となります。一般壁には考慮しません。
※連スパン耐震壁は一連の壁にモデル化されます。直接入力値は伏図上では一連の壁の左寄りまたは下寄りの壁に指定してください。

参考
DOC-RC/SRC Ver9 概要編マニュアル
2019年9月 第2刷発行

<耐力計算時のモデル化、セグメントについて>
3章-21~-22頁 項目:3.3 1次診断の計算方法
3章-27~-29頁 項目:3.4 2次診断の計算方法 3.4.1 鉛直部材の構成

<壁増し打補強の計算方法について>
3章-127頁 項目:3.5.2 2次診断の計算 曲げ終局強度の計算 2)壁補強の場合
3章-131頁 項目:3.5.2 2次診断の計算 せん断終局強度 2)壁補強の場合 1)RC造 ④壁増し打補強

2017年版既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震改修設計指針・同解説
平成29年7月1日2017年改訂版発行

<まえがき> 修正として『増厚壁の耐力算定式のを明記した。』と記載されています。
Ⅴ~Ⅵ 頁 項目:第3章 補強部材・部位の設計 3.1壁の増設による補強 (5)

9~10頁 項目:【本文】3.1.6 既存壁の増厚による補強の計算法
116~118頁 項目:【解説】3.1.6 既存壁の増厚による補強の計算法

2001年版既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震改修設計指針・同解説
平成17年2月25日2001年改訂版発行6刷発行

94頁 項目:3.1.4補強工法と構造詳細 【解説】(1)補強工法 (b)増し打ち部分
105頁 項目:「解表3.1.5-1 一体打ちに対する増設壁のせん断耐力低減係数」

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文書情報

製品カテゴリ: DOC-RC/SRC 最終更新日: 2020-07-14
バージョン: DOC-RC/SRC[ver.9.x],
文書番号: DOCR00814
分類: 計算方法


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