部材耐力の計算方法について
DOC-RC/SRCでは、強度指標および靱性指標の計算方法として「SCREEN」で定義している鉛直部材とセグメントの考え方を採用しています。1つの鉛直部材を構成する柱、壁などの長方形断面要素をセグメントと呼び最大7種類のモデルにモデル化します。モデル化に当たってはセグメント毎に部材を平均化します。両側柱型付壁(以降、耐震壁)に配置した増し打ち部についても壁版に平均化して考慮しています。
※計算方法の詳細は後述のDOC-RC/SRCの概要編マニュアルをご参照ください。
耐力低減係数について
曲げ耐力低減係数について
増し打ち補強を考慮した曲げ耐力(以降、Mu)に、増し打ち補強で指定した曲げ耐力低減係数を乗じ低減します。
せん断耐力低減係数について
増し打ち補強を考慮したせん断耐力(以降、Qsu)に、増し打ち補強で指定したせん断耐力低減係数を乗じ低減します。
軸方向耐力低減係数について
3次診断時のみ有効となります。1次、2次診断時は指定されていても無効となります。
例えば『耐震壁に増し打ち補強を配置し、側柱の左右に増設そで壁を配置、耐力低減係数が増し打ち補強壁版、左右の増設そで壁のそれぞれで異なる場合』を上げ説明いたします。
・曲げ耐力低減係数について
増し打ち補強で指定した曲げ耐力低減係数を増設そで壁付の耐震壁のMuに乗じます。
左右の増設そで壁に指定した曲げ耐力低減係数が異なる場合は比較し小さい値となる低減係数をさらに乗じ
曲げ耐力低減係数を二重に考慮しています。
・せん断耐力低減係数について
左右の増設そで壁のせん断耐力低減係数が異なる場合は、各そで壁部のせん断耐力(sQsu)に指定に応じた低減係数を乗じ耐震壁のQsuに加算しています。さらに、sQsuの合算されたQsuに増し打ち補強壁版に指定された低減係数を乗じます。
【注意】
下記についてご注意ください。
・2017年版既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震改修設計指針・同解説 『3.1.6 既存壁の増厚による補強の計算法』では増厚壁の耐力算定式、あと施工アンカーを考慮した耐力の計算方法等が記載されていますが、DOC-RC/SRCでは対応していません。2017年版を選択した場合でも、2001年基準の記載に応じ既設建物と同様にそで壁付き柱のせん断終局強度算定式を用いています。
・増設壁符号のせん断耐力低減係数は、2001年版RC造耐震改修設計指針同解説 105頁 「解表3.1.5-1 一体打ちに対する増設壁のせん断耐力低減係数」を参照し省略値を『0.9』としています。
・モデル化条件:耐震壁とする壁厚( t )の条件『12㎝未満(または、tがh/30に満たない)の壁の扱い』 についてDOCRC/SRCでは、指定は無効となります。既存壁の厚さが10cm以上であれば耐震壁の判定を行います。
・偏心率計算時に用いる部材の割線剛性には上記の耐力低減係数を考慮した耐力を用います。
【出力】
グラフィック出力
項目:10.1.1 部材の終局強度と靭性能
終局強度の個別計算結果(CSV形式ファイル)
[耐震診断]→[CSV形式ファイルの出力]→[終局強度の個別出力]より
確認する検討方向、柱・壁にチェックを入れ、部材の配置軸を指定し[OK]を押します。
計算に考慮した耐力低減係数、耐力の計算詳細を確認できます。
耐震壁のモデル化の確認方法
[ウインドウ]→[応力図]より応力図が表示できます。
右クリックし、ショートカットメニューの中から「応力図の表示設定」により表示を切り替えることができます。耐震壁(連スパン耐震壁)についてモデル化の状態を確認できます。