他方で建物の平面形状、立面形状、混構造、工区の接続等で同一建物で一体として挙動しない可能性がある場合は診断時にゾーニング毎の検討が必要となります。DOC-RC/SRCでは1つの建物のモデルのうち判定対象外となる部材に『診断計算に考慮しない柱・壁』を指定しますと、指定した部材の耐力を診断計算時の耐力集計から除きます。残った診断に考慮する部材でゾーニング部分のみの耐震性能を得ることが出来ます。
例えば
下図のようなL型の平面形状となる1つの建物のモデルについてX方向検討時にAゾーンのみを診断計算に考慮する場合
Bゾーン鉛直部材に『診断計算に考慮しない柱』、『診断計算に考慮しない壁』を指定しますと、建物全体の耐力集計から指定したBゾーンの鉛直部材の耐力が除かれます。結果、Aゾーンのみの耐力を集計できます。
【注意】
『診断計算に考慮しない柱』について
『診断計算に考慮しない柱』の指定は柱のみに有効となります。
例えば、耐震壁の側柱のみに『診断に考慮しない柱』の指定を行った場合、壁版を有効とします。壁版の形状が雑壁に該当すればフレーム内雑壁として考慮します。
診断計算に考慮しない柱については、検討方向毎(X・Y方向毎)に『診断に考慮する・考慮しない』の指定が行えます。
『診断計算に考慮しない壁』について
『診断計算に考慮しない壁』の指定は壁版のみに有効となります。
例えば、耐震壁の壁板のみに『診断に考慮しない壁』の指定を行った場合、両側の柱は独立柱又はそで壁付柱として考慮します。『耐震壁』を耐力集計から完全に除く場合は、上記伏図、BゾーンのFフレーム1-2軸間のように、壁版に『診断に考慮しない壁』、側柱に『診断に考慮しない柱』の指定を行ってください。正・負方向毎に『診断に考慮する・考慮しない 』の指定は行えません。ご注意ください。
『ゾーンの切り替え』について
1つの入力モデルに対し計算対象となるゾーンを切り替える機能、ゾーン毎に自動で診断計算を行う機能はありません。必要であればゾーン毎の入力データの作成をご検討ください。
【補足】
重量について
ゾーニング部の総重量を自動で求める方法
「耐震診断計算条件:診断に無視した部材が負担する建築重量の考慮」を「考慮しない」と指定します。
建物全体から求めた『診断計算時に考慮する総重量』から「診断に考慮しない部材」の負担する長期軸力を除きます。 ゾー二ング部分の重量を自動でもとめ耐震性能を評価します。
ゾーニングした判定対象部分の建物重量を直接入力する方法
『層重量』の直接入力
診断計算時に集計する層毎の重量を直接入力します。各階の『診断計算時に考慮する総重量』は各層の指定値を合計し用います。
『総重量』の直接入力
各層に診断対象階の負担する上階からの『診断計算時に考慮する総重量』を直接入力します。各階の診断計算に指定値を用います。
他のゾーニングに関連する仕様について
DOC-RC/SRCVer.10概要編マニュルの項目:「3.2.10 構造的に一体とみなせない場合の入力方法」に
他のゾーニングの例と共に、下記1)~4)の機能について記載しています。合わせてご参照ください。
1)終局時保有せん断力Qu
2)建物重量
3)偏心率、剛重比
4)耐震診断に考慮しない柱および壁