ゾーニング部分の耐力集計を行うことはできますか? [文書番号 : DOCR00884]

概要
できます。機能・関連する操作についてご説明します。
回答
DOC-RC/SRCを含むBUSSeriesでは剛床を1つとした建物のモデルを想定しています。
他方で建物の平面形状、立面形状、混構造、工区の接続等で同一建物で一体として挙動しない可能性がある場合は診断時にゾーニング毎の検討が必要となります。DOC-RC/SRCでは1つの建物のモデルのうち判定対象外となる部材に『診断計算に考慮しない柱・壁』を指定しますと、指定した部材の耐力を診断計算時の耐力集計から除きます。残った診断に考慮する部材でゾーニング部分のみの耐震性能を得ることが出来ます。

例えば
下図のようなL型の平面形状となる1つの建物のモデルについてX方向検討時にAゾーンのみを診断計算に考慮する場合
Bゾーン鉛直部材に『診断計算に考慮しない柱』、『診断計算に考慮しない壁』を指定しますと、建物全体の耐力集計から指定したBゾーンの鉛直部材の耐力が除かれます。結果、Aゾーンのみの耐力を集計できます。



ゾーニング部 平面図



ゾーニング部 立面図


【注意】
『診断計算に考慮しない柱』について

『診断計算に考慮しない柱』の指定は柱のみに有効となります。
例えば、耐震壁の側柱のみに『診断に考慮しない柱』の指定を行った場合、壁版を有効とします。壁版の形状が雑壁に該当すればフレーム内雑壁として考慮します。
診断計算に考慮しない柱については、検討方向毎(X・Y方向毎)に『診断に考慮する・考慮しない』の指定が行えます。

『診断計算に考慮しない壁』について

『診断計算に考慮しない壁』の指定は壁版のみに有効となります。
例えば、耐震壁の壁板のみに『診断に考慮しない壁』の指定を行った場合、両側の柱は独立柱又はそで壁付柱として考慮します。『耐震壁』を耐力集計から完全に除く場合は、上記伏図、BゾーンのFフレーム1-2軸間のように、壁版に『診断に考慮しない壁』、側柱に『診断に考慮しない柱』の指定を行ってください。正・負方向毎に『診断に考慮する・考慮しない 』の指定は行えません。ご注意ください。

『ゾーンの切り替え』について
1つの入力モデルに対し計算対象となるゾーンを切り替える機能、ゾーン毎に自動で診断計算を行う機能はありません。必要であればゾーン毎の入力データの作成をご検討ください。


【補足】
重量について
ゾーニング部の総重量を自動で求める方法
「耐震診断計算条件:診断に無視した部材が負担する建築重量の考慮」を「考慮しない」と指定します。
建物全体から求めた『診断計算時に考慮する総重量』から「診断に考慮しない部材」の負担する長期軸力を除きます。 ゾー二ング部分の重量を自動でもとめ耐震性能を評価します。

ゾーニングした判定対象部分の建物重量を直接入力する方法
『層重量』の直接入力
診断計算時に集計する層毎の重量を直接入力します。各階の『診断計算時に考慮する総重量』は各層の指定値を合計し用います。

『総重量』の直接入力
各層に診断対象階の負担する上階からの『診断計算時に考慮する総重量』を直接入力します。各階の診断計算に指定値を用います。


他のゾーニングに関連する仕様について
DOC-RC/SRCVer.10概要編マニュルの項目:「3.2.10 構造的に一体とみなせない場合の入力方法」に
他のゾーニングの例と共に、下記1)~4)の機能について記載しています。合わせてご参照ください。

 1)終局時保有せん断力Qu
 2)建物重量
 3)偏心率、剛重比
 4)耐震診断に考慮しない柱および壁


操作
耐力について
耐震診断に考慮しない柱
[診断計算]→[部材指定]→[耐震診断に考慮しない柱]より、指定方向を選択し、方向毎に診断に考慮する、しないを選択します。
「配置」ボタンを押し、伏図またはフレーム図より該当の柱をクリックし配置します。
「削除」ボタンを押し、伏図またはフレーム図より該当の柱をクリックし選択しますと削除できます。

耐震診断に考慮しない壁・ブレース
[診断計算]→[部材指定]→[耐震診断に考慮しない壁・ブレース]より、指定方向を選択します。
「配置」ボタンを押し、伏図またはフレーム図より該当の壁をクリックし配置します。
「削除」ボタンを押し、伏図またはフレーム図より該当の壁をクリックし選択しますと削除できます。

※耐震診断に考慮しない柱・壁の指定は、補強部材、増設部材にも有効です。補強設計時のゾーニングにも利用できます。

フレーム内の雑壁
フレーム内の雑壁については、『耐震診断に考慮しない壁』の指定を考慮します。指定があれば耐力の集計から除かれます。

フレーム外の雑壁
[基本データ入力]→[壁]→[雑壁の入力] より
登録済みの雑壁を選択し、耐震診断データ『耐力の考慮』チェックを外し、 [変更]のボタンを押しますと耐力の集計から除かれます。
※フレーム内雑壁、フレーム外雑壁については関連文章:DOCR00850をご参照ください。


重量について
診断に無視した部材が負担する建築重量の考慮
[耐震診断]→[計算条件]→[耐震診断計算条件]→〔共通(モデル化・終局強度)〕タブ より
診断で無視した部材が負担する建築重量の考慮「考慮する(省略値)」、「考慮しない」のいずれかを指定できます。

層重量の直接入力
[耐震診断]→[計算条件]→[建物重量の直接入力] より、省略値のチェックを外します。
「層重量」、「単位床面積重量」のいずれかを選択し、層毎の重量を直接入力します。

総重量の直接入力
[耐震診断]→[計算条件]→[建物総重量の直接入力]より、総重量の自動計算のチェックを外します。
各層に診断当該階から最上層までの総重量を入力します。最下層を除く全階数入力します。


詳細
【出力】
耐力について
項目:10.1 保有性能基本指標
  グルーピングに考慮する部材(例:Aゾーンの鉛直部材)のみを出力します。

 項目:10.1.1 部材の終局強度と靭性能
 項目:10.1.2 雑壁の終局強度と靭性能
 項目:10.1.3 増設ブレースの終局強度と靭性能

項目:10.2 2次診断グルーピングの結果
   項目:10.1 に記載された部材(例:Aゾーンの鉛直部材)のみのグルーピングの集計結果を出力します。


重量について
出力:9.5 層重量、床面積
   診断に考慮した層重量を確認できます。

出力:10.2 2次診断グルーピングの結果
  「(6)最終結果」で該当階の診断に考慮した総重量を確認出来ます。


参考
下記は、ゾーニング関する参考文献となります。

DOC-RC/SRC Ver.10 概要編マニュアル
2021年 3月 初刷発行
項目:3.2.10 構造的に一体とみなせない場合の入力方法


2017年版既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準 同解説
平成29年7月1日2017年改訂版発行
項目:【解説】3.3形状指標SD 3.3.1一般
項目:【解説】3.3形状指標SD 3.3.2形状指標の評価項目と算出方法
項目:【解説】3.3形状指標SD 3.3.3剛性分布の検討方向 (3)偏在が著しい場合の例外事項


2017年版既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準 適用の手引き
平成29年7月1日2017年改訂版発行
付1-3本基準適用にあたっての留意事項
項目:2.2平面形状の評価
項目:2.5ゾーニングを行った場合の形状指標の評価
項目:3平面形状や立体形状が整形でない建築物のゾーニングについての留意事項
項目:4.6 E0算出用の補正係数(Φ) (5)ゾーニングにより建築物を分割して診断することが適切と判断される場合


2017年改訂版 実務者のための耐震診断マニュアル
平成29年11月 一般財団法人 建築士事務所協会
項目:2.7.2建物のモデル化 (2)ゾーニング
項目:2.7.5形状指標の算定 (4)平面形状によるSD指標の計算の適用
項目:5.2混構造建物の診断の基本原則
項目:5.5RC造とS造の混構造の診断
関連文書
DOCR00850 診断計算に考慮する雑壁を教えてください。
DOCR00857 プログラムのマニュアルの参照方法を教えてください。
DOCR00874 床面の剛床仮定の成立について、プログラムで検討する事ができますか。



文書情報

製品カテゴリ: DOC-RC/SRC 最終更新日: 2021-03-12
バージョン: DOC-RC/SRC[All],
文書番号: DOCR00884
分類: 計算方法


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