平面的に傾斜しているフレームや部材の剛性・耐力を直交方向にも考慮できますか。 [文書番号 : DOCR00873]

概要
考慮できます。計算仕様について回答します。
回答
基準軸に対して、部材の平面傾斜角度が15゜を超えた場合
部材の剛性・耐力を検討方向及び直交方向の耐震性能に反映します。
耐力の角度補正は2017年版RC診断基準の適用の手引き
『項目:4.7架構の平面的な傾斜による角度補正 (1)部材の2方向の軸に対する補正』の内容に従って計算を行います。

基準軸に対して15゜以下の傾斜角度となる場合
部材の耐力は検討方向には傾斜角による耐力補正を考慮しますが、直交には考慮しません。
部材の剛性は15゜以下となる場合も検討方向及び直交に考慮します。


【注意】
1) 傾斜角度が15゜を超えた場合は評価の範囲外となります。
診断表の下段に下記の評価範囲外メッセージを出力します。
『(4)部材またはフレームの傾斜角度が15°を超えているので、評価プログラムの適用範囲外です。』

2) 2001年版のRC造診断基準を選択された場合は、耐震診断計算条件で傾斜部材の取り扱いを考慮する。と指定した場合のみ直交成分を考慮します。2017年版を指定された場合は前記の指定によらず直交成分を考慮します。

3) 検討方向に対する柱主軸の回転角度は45度以下を想定しています。
主軸の回転角度が45゜を超える場合は直交からの回転角度にして45゜以内の数値入力を行ってください。

詳細
部材耐力について
耐力の計算方法については、DOC-RC/SRC Ver.10 概要編マニュアル
『項目:3.4.8 平面的に傾斜した部材の計算』に詳細を記載しています。後述の参考文献を参照ください。

F値・破壊タイプについて
検討方向のIs計算時に直交方向の耐力を考慮する場合は、直交方向のF値・破壊モードを用います。
例えば、X方向のIs計算時に直交方向(Y方向になります)の耐力を考慮する場合は、直交方向(Y方向)のF値・破壊モードを用います。

偏心率・剛性バランスに考慮する部材剛性について
直交方向の割線剛性には上記の耐力とF値・破壊タイプを考慮します。


【出力】
グラフィック出力
直交方向の耐力として考慮した部材には[No]の欄に[+]マークを描画します。
項目:10.1.1 部材の終局強度と靭性能(正加力時) :耐力、F値・破壊モードが確認できます。
項目:10.2 2次診断グルーピングの結果
   (2)強度寄与係数(正加力時):グルーピングに考慮した強度寄与係数が確認できます。
項目:10.4 破壊モード図(正加力時) 図題に(直交)と記載し直交方向に考慮した破壊タイプ・F値、せん断耐力(Qu)を確認できます。

部材耐力の詳細出力
検討方向の部材耐力(Mu、Qmu、Qsu)計算結果の詳細を参照できます。
CSV出力の中段に部材軸方向の耐力に乗じる角度補正係数を出力しています。
【操作】
[耐震診断]→[CSV形式ファイルの出力]→[終局強度の個別出力]より
確認する検討方向、柱・壁又は増設ブレースにチェックを入れ、部材の配置基端となる軸を指定し[OK]を押します。
CSV形式出力で部材毎の詳細結果を確認できます。

部材剛性の詳細出力
剛心位置計算に考慮する部材の割線剛性については下記の操作で詳細を確認できます。
【操作】
[耐震診断]→[CSV形式ファイルの出力]→[偏心率・剛性率一覧]を押し詳細をご参照ください。


操作
X方向検討時、Y方向検討時それぞれのグルーピング時に考慮する検討方向及び直交方向の耐力、F値・破壊タイプを直接入力できます。

【 耐力の直接入力 】
検討方向
 操作:[耐震診断]→[部材耐力]より、下記の項目で指定できます。
・[柱耐力直接入力(2次診断)]
・[壁耐力直接入力(2次診断)]
・[増設ブレース耐力直接入力(2次診断)]

直交方向
 操作:[耐震診断]→[部材耐力]より、下記の項目で指定できます。
・[柱耐力直接入力(直交)(2次診断)]
・[壁耐力直接入力(直交)(2次診断)]
・[増設ブレース耐力直接入力(直交)(2次診断)]


【 F値・破壊タイプの直接入力 】
検討方向
 操作:[耐震診断]→[部材指定]→[F値の直接入力]より
・タブ:〔柱〕、〔壁・増設壁〕、〔増設ブレース〕より指定できます。

直交方向
 操作:[耐震診断]→[部材指定]→[F値(直交)の直接入力]より
・タブ:〔柱〕、〔壁・増設壁〕、〔増設ブレース〕より指定できます。

【 傾斜部材の取り扱い 】
操作:[耐震診断]→[計算条件]→[耐震診断計算条件]→〔共通(モデル化・終局強度)〕タブ より
・「傾斜部材の取り扱い:考慮する、考慮しない(省略値)」を指定できます。


参考
DOC-RC/SRC Ver.10 概要編マニュアル
2021年 3月 初刷発行
項目:3.4.8 平面的に傾斜した部材の計算

2017年版既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準 適用の手引き
平成29年7月1日2017年改訂版発行
項目:付I-3 本基準適用に当たっての留意事項 4.7架構の平面的な傾斜による角度補正


関連文書
DOCR00837 平面傾斜するフレーム内雑壁、フレーム外雑壁の耐力について
DOCR00852 2017年版基準の割線剛性のねじり剛性計算時について、平面傾斜する鉛直部材の傾きに対しての法線方向の距離を考慮して計算していますか。
DOCR00857 プログラムのマニュアルの参照方法を教えてください。



文書情報

製品カテゴリ: DOC-RC/SRC 最終更新日: 2021-03-12
バージョン: DOC-RC/SRC[ver.10.x],
文書番号: DOCR00873
分類: 計算方法


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