そで壁付柱の反曲点高さの計算で弾性解析結果を選択しています。逆せん断力を負担した場合どのように計算しますか。 [文書番号 : DOCR00855]

概要
省略値では反曲点高さの計算を省略しQmu、Qsuを計算せずにQuを『0』としています。
回答
DOC-RC/SRCの仕様について
DOC-RC/SRCでは診断計算時に検討方向と同方向の応力負担を想定し耐力を算定しています。
そで壁付柱の反曲点高さ(hcw0)は指定により地震時の『弾性解析結果』より求めることができますが、弾性解析の結果、加力方向と逆向きのせん断応力(以降、逆せん断力と称します。)を負担する場合があります。
想定と異なる耐力を算出しないよう省略値では反曲点高さの計算を省略しQmu、Qsuを計算せずにQuを『0』としています。例えば、下記のような場合に逆せん断力を負担することがあります。

 ・弾性解析時に平面的な捩れが生じる場合
 ・上下階の剛性バランスにより相対的に上層より下層の変位量が多くなる場合
 ・基礎の偏心による付加曲げが柱脚に作用する場合


逆せん断力発生の確認方法について
グラフィック出力項目:『11.1.1 2次診断表』下段に評価範囲内メッセージを出力しています。
グラフィック出力項目:『10.1.1 部材の終局強度と靭性能』では逆せん断が発生した部材に[▼]を記載します。
応力計算メッセージでは逆せん断力が生じた部材位置を出力します。応力図、変位図と合わせてご確認頂けます。

【 評価範囲内メッセージ 】
『逆せん断力が発生しています。耐力、F 値を 0 として集計します。そのままの結果を用いるの が適当ではないと判断される場合には、そで壁付柱高さの直接入力や耐力、F値、破壊タイプ の直接入力を行ってください。』

【 応力計算メッセージ 】
『C5517:荷重ケース[○○] ××フレーム △△階 □□軸 ◇◇ 逆せん断力が生じています。』


回避方法、計算方法の選択、個別指定について
各種基準書に逆せん断力を負担した場合の計算方法の記載が見受けられません。
DOC-RC/SRCでは診断者判断により反曲点高さの取り方を変更できるように指定を設けています。

【 共通条件の指定 】
『逆せん断力が生じるそで壁付柱の反曲点高さの取り方』を設け下記の何れかを指定できます。
 ・「ho」
 ・「診断基準式」
 ・「耐力を0」(省略値)

【 個別の指定 】
下記の直接入力を考慮します。
 ・「反曲点高さ」
 ・「耐力」
 ・「F値」

補足
逆せん断力が発生した部材を確認できる出力項目
グラフィック出力項目:10.1.1 部材の終局強度と靭性能(正加力時)
(1)計算結果(※加力時)
   凡例 ▼付き:逆せん断が発生した部材

応力図の確認方法
[ウインドウ]→[応力図]より応力図が表示できます。
右クリックし、ショートカットメニューの中から「応力図の表示設定」により表示を切り替え、地震時をご参照ください。

変位図の確認方法
[ウインドウ]→[変位図の表示]をクリックします。変位図が表示できます。
表示画面上で右クリック『変位図の表示設定』より、各タブ内の表示条件を指定し「OK」を押して下さい。
図が切り替わります。
回避方法
共通条件
そで壁付柱の反曲点高さの取り方
[耐震診断]→[計算条件]→[耐震診断計算条件]→〔1、2次診断〕タブ
そで壁付柱の反曲点高さの取り方より「診断基準」、「弾性解析結果」のいずれかを指定できます。
【注意】
「弾性解析結果」の選択については2001年版RC造診断基準を選択した場合『評価範囲内』となりますが、2017年版を選択した場合は『評価範囲外』となります。ご注意ください。

逆せん断応力が生じるそで壁付柱の反曲点高さの取り方
[耐震診断]→[計算条件]→[耐震診断計算条件]の「共通(モデル化・終局強度)」タブ内、
「逆せん断が生じるそで壁付柱の反曲点高さの取り方」で下記の何れかを選択できます。
 ・「ho」
 ・「診断基準式」
 ・「耐力を0」(省略値)

直接入力
耐力の指定
[耐震診断]→[部材耐力]→[柱耐力直接入力(2次診断)] より耐力の直接入力を該当の柱にご指定ください。

F値の指定
[耐震診断]→[部材指定]→[F値の直接入力]→〔柱〕タブ より破壊形状とF値を該当の柱にご指定ください。

反曲点高さの指定
[耐震診断]→[部材指定]→[そで壁付き柱高さ直接入力]
・反曲点の扱い:自動 とします。
・そで壁付柱高さ直接入力 (2次診断) そで壁付柱高さ:直接入力 で反曲点高さの2倍を指定してください。 反曲点は入力値の1/2となります。
参考
[ヘルプ]→[ヘルプの目次]より
■DOC-RC/SRC Ver.10(評価取得版 DOC-RC Ver.10.0)
[概要編(Ver.10)]ボタンを押し、PDF形式の概要編マニュアルより下記をご参照ください。

DOC-RC/SRC Ver10 概要編マニュアル
 2021 年 3 月 初版発行
 項目: 3.4.6 柱と壁が連続する場合の反曲点高さ
関連文書
DOCR00854 破壊モード図でQu、F値が『0』となる部材があります。原因を教えてください。
DOCR00856 柱のMuが『0』となりました。なぜでしょうか。
DOCR00892 評価範囲外メッセージの出力理由を教えてください。



文書情報

製品カテゴリ: DOC-RC/SRC 最終更新日: 2023-09-11
バージョン: DOC-RC/SRC[ver.10.x],
文書番号: DOCR00855
分類: 計算方法


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