『偏心率の求め方』では下記の何れかを指定できます。
結果の異なる要因について計算方法の違いに分けて回答いたします。
・「診断基準」(省略値)
・「精算法」
・「診断基準(東京都事務所協会)」
・「2017年A法(割線)」
・「2017年B法(割線)」
・「2017年C法(割線)」
1) 部材剛性の計算方法の違いについて
断面積
( 2001年版「診断基準」を選択した場合)
高さ方向の部材形状によらず、鉛直部材の断面形状より、部材剛性に考慮する断面積を求めます。
壁量・柱量のとり方の詳細はプログラムの概要編マニュアルや関連文書のDOCR00813をご参照ください。
弾性剛性
( 2001年版「精算法」、2017年版「精算法(B法)」を選択した場合)
弾性解析結果より部材主軸方向の剛性(K=Q/δ)を考慮します。例えば、剛心の計算条件を「鉛直部材の剛性から計算」と指定した場合、検討方向加力時と直交方向加力時の部材主軸方向の負担せん断力(Q)、層間変位(δ)を合成し求めます。主軸の回転、フレームに平面傾斜がある部材については、直交方向加力時の部材主軸方向の負担せん断力(Q)、層間変位(δ)が大きくなりますと部材剛性の結果に影響を与えます。
割線剛性
(「2017年A法(割線)」、「2017年B法(割線)」、「2017年C法(割線)」を選択した場合)
各部材の割線剛性(K=αQ/R)は、検討する層間変形角(R)、Rに対応する強度寄与係数(α)、該当部材の終局強度(Q=min(Qmu、Qsu))より算出します。
検討方向毎の各部材主軸方向の強度、靭性能に応じた強度寄与係数を考慮します。
2) 部材剛性計算時に考慮する可とう域、うちのり高さについて
部材毎の可とう域を考慮しない
( 2001年版「診断基準」を選択した場合)
2001年版「診断基準」では平面上の部材位置、壁の高さ/長さ比を考慮し剛心を求めますが、部材剛性は断面積より求めるため、部材毎の可とう域、内のり高さが考慮されません。
弾性解析時に可とう域を考慮する
(「精算法」、2017年版「精算法(B法)」を選択した場合)
弾性剛性計算時に考慮する負担せん断力(Q)、層間変位(δ)は、垂れ壁、腰壁、そで壁による剛域を考慮した弾性解析結果より求めます。そのため部材剛性計算時に可とう域を考慮します。
部材の割線剛性計算時に内のり高さを考慮する
(「2017年A法(割線)」、「2017年B法(割線)」、「2017年C法(割線)」を選択した場合)
部材の割線剛性計算に考慮する該当部材の終局強度(Q=min(Qmu、Qsu))計算時に、部材の内のり高さを考慮します。
3) 建物の捩り剛性の考慮について
偏心率計算時に捩り剛性を考慮しない
( 2001年版「診断基準」、「2017年A法(割線)」を選択した場合)
偏心率は、偏心距離と回転半径により求めます。
回転半径の計算は、各階に配置された床構造の配置より平面形状を認識します。建物の平面形状を柱で囲まれた矩形平面の集合とし、各階の平面を均質な矩形面、水平剛性が均一に分布しているとし計算します。捩り剛性は考慮されていませんので偏心率が0.15を超える場合は「例外事項」の適用が必要となります。
「例外事項」の詳細はプログラムの概要編マニュアルや関連文書のDOCR00458をご参照ください。
偏心率計算時に捩り剛性を考慮する
( 2001年版「精算法」、2017年版「精算法(B法)」、「2017年B法(割線)」、「2017年C法(割線)」を選択した場合)
偏心率は、偏心距離と弾力半径により求めます。弾力半径の計算に捩り剛性を考慮します。
捩り剛性の計算は、部材の平面傾斜角を考慮した主軸方向の剛性、部材軸と剛心からの距離より算出します。
偏心率の計算結果に直接影響いたします。
「2017年C法(割線)」については、G"Lを求めるさい、直接、捩り剛性を考慮しています。
詳細はプログラムの概要編マニュアルや関連文書のDOCR00852をご参照ください。