『W-R1032 雑壁剛性の基準とみなす柱がなく、雑壁の剛性が計算できない。』の対処方法を教えてください。 [文書番号 : NBUS00064]

概要
「標準柱剛性」を指定してください。操作方法とメッセージについて説明いたします。
回答
雑壁の剛性Dwはn値、Aw:断面積(㎜2)、標準柱剛性(kN/m/mm2)を乗じ求めます。
剛性計算の基準とみなす柱がなく「標準柱剛性(ΣDc/ΣAc)」が自動計算出来ない場合にW-R1032メッセージを出力します。メッセージに該当する階・方向について『標準柱剛性』を直接入力しますとメッセージを解消できます。


「標準柱剛性」の指定は下記操作をご利用ください。

【操作】
[一貫計算]→[計算条件]→[上部構造計算条件]→[剛性率・偏心率計算条件] または
[上部計算]→[計算条件]→[計算条件]→[剛性率・偏心率計算条件]より

1)雑壁剛性の基準とみなす柱剛性 で 「柱剛性」 にチェックを入れます。
2)下段の「標準柱剛性」のアイコンが有効になりますので選択してください。
3)「標準柱剛性」の各階検討方向チェックを外しますと任意の「標準柱剛性」が指定できます。
4)下段の[OK]ボタンで閉じ、剛性率・偏心率計算条件ダイアログ下段の[OK]を選択し終了します。




【注意】
・雑壁の剛性計算の対象となる雑壁は「RC壁」で指定した雑壁です。
 「その他の壁」で指定した雑壁は、剛性計算の対象となりません。ご注意ください。

・『任意角度1、2加力時』を指定する場合
 下記いずれかの操作を行いますと上図のように指定が有効となります。
 【操作】
 【新規ファイル】→[(4/4)設計方針]→[任意角度の計算を行う]を付けているときに表示します。
 【プロジェクト概要】→[設計方針]→[任意角度の計算を行う]を付けているときに表示します。

解説
『雑壁剛性の基準とみなす柱』の条件は下記のとおりです。

・RC造またはCFT造の柱
・耐震壁の付帯柱ではない
・Dc(加力方向の柱水平剛性)>0
・0.8 ≦ 柱の曲げ剛性増大率φM ≦ 設定値([剛性率・偏心率計算条件] で設定)※
 ※雑壁剛性の基準とみなす柱剛性「柱剛性」を選択した場合、上限値(φM=1.5)の変更はできません。

その階で、上記の条件を満たす柱の Dc(加力方向の柱水平剛性)とAc(柱断面積)を加算して
『ΣAc=0』となる場合(条件を満たす柱が無かった場合)に『W-R1032メッセージ』の対象となります。


【メッセージ】
W-R1032 雑壁剛性の基準とみなす柱がなく、雑壁の剛性が計算できない。

【メッセージ解説】
雑壁の水平剛性の計算に用いる標準柱剛性を自動計算するための柱の断面積ΣAcがゼロとなり、雑壁の水平剛性を計算できません。雑壁の水平剛性をゼロとして偏心率・剛性率計算を行います。
雑壁の剛性は、[剛性率・偏心率計算条件]で標準柱剛性を直接入力することにより考慮することができます。
ΣAcについては、計算編マニュアル「5.4.2偏心率 □水平剛性、剛心(LX、LY)、ねじり剛性KR、加力方向の水平剛性 1)改良理論式」の式(5.4.2-9)の標準柱剛性Dc/Acを参照してください。



例えば『柱の断面積ΣAc』は下記の場合に計算対象外となります。

①全ての柱が耐震壁の付帯柱となる場合

②雑壁を囲む全ての柱の曲げ剛性増大率が「雑壁 n値計算の基準とみなす ΦMの値」の範囲に該当しない場合
  範囲:0.8≦柱の曲げ剛性増大率(φM)≦指定したφM(初期値 1.5)
   φM:I/Io、Ioは壁などのつかない柱だけの断面2次モーメント

  【②詳細】
  計算方法の詳細は【剛性率・偏心率計算条件】コマンドの
  ヘルプ:雑壁剛性の基準とみなす柱剛性の入力方法『補足(1)』をご参照ください。

③全ての柱が加力方向と逆向きのせん断力を負担した場合
  加力方向に変位(+δ)しても、建物全体のねじれや、柱頭・柱脚の負荷曲げ等により
  加力方向とは逆向きのせん断力(-Q)を負担しますと、DC=( -Q)/(+δ) <0となり、∑Acの対象外となります。

  【③注意】
  加力方向と逆向きに変位(-δ)し、逆向きのせん断力(-Q)を負担した場合は
  Qとδの方向が同じで部材水平剛性(Q/δ)が正の値となりDc、Acの計算対象となります。
  自動計算の値が適当でないと判断される場合は『標準柱剛性』の直接入力をご利用ください。



対処方法
『標準柱剛性』の計算方法について詳細な文献は確認できませんので設計者判断となりますが
一例として、D値を算出する方法をご紹介いたします。後述の参考文献を合わせてご確認ください。


【標準柱剛性の求め方の例】
代表的な柱を選び、各層の検討方向毎に標準的な柱の水平剛性を求めます。

  標準柱剛性 =Qc/δc/Ac[kN/m/mm2]

       Qc:柱のせん断力 [kN]
       δc:柱の層間変位 [m]
       Ac:柱の断面積 [mm2]

【注意】
前記の①のように、ある方向について、すべて耐震壁の付帯柱となっている場合には
一部の壁を削除して柱の変形を確認する等の対応が必要にります。


【関連操作】
変位図の確認方法
 NOUT [応力計算]→[変位図]より変位図を参照します。
 変位図の右上の[表示選択]より、フレーム、荷重ケース、加力方向を指定し参照できます。

 ・表示する値等の変更は、リボンメニューのタブ:表示、タブ変位を開き参照する項目をご指定ください。
 ・3D表示とする場合は[表示選択]のフレームの欄で[全体]を選択してください。
  3D表示の回転操作はキーボードの[Ctrl]+矢印または[Ctrl]+左ボタンドラッグとなります。

応力図の確認方法
 NOUT [応力計算]→[応力図]より応力図を参照します。
 ・図の切り替え方法は変位図と同様です。


【参考文献】
2020年版建物の構造関係技術基準解説書
 令和2年10月26日 第1版第1刷発行
  項目:付録1-3.1 鉄筋コンクリート造材の力学モデルに関する技術資料
    (9)その他の鉄筋コンクリート造部材の終局強度等 ⑤剛節架構外の壁の剛性


詳細
【出力】

構造計算書
 項目:6.1.2 モデル化共通条件 (2) 剛性率・偏心率計算条件
   ■ 標準柱剛性 (kN/m/mm2)
   ※ 直接入力値の確認ができます。

 項目:6.1.8.2 部材剛性表 (2) 柱部材剛性表 φM
   ※[出力指定]で選択しご参照ください。

入力データ書
 項目:I-2.5 剛性率・偏心率計算条件
   ■ 標準柱剛性 (kN/m/mm2)
   ※ 直接入力値の確認ができます。

NOUT
 [ホーム]→[出力項目]→[応力計算]→[計算結果のCSV出力]フォルダ内の
 ・偏心率剛性率-X正_Y正.csv
 ・偏心率剛性率-X正_Y負.csv
 ・偏心率剛性率-X負_Y正.csv
 ・偏心率剛性率-X負_Y負.csv
 より、自動計算結果『■標準柱剛性(雑壁剛性用) 』を確認できます。


【計算マニュアル】

構造モデラ―+NBUS7 Ver.3 計算編 マニュアル
 2023 年 10月 初版発行

 項目:5.4 剛性率・偏心率・層間変形角
   □雑壁(剛性を考慮する雑壁の厚さ、長さの条件)

 項目:5.4.1 剛性率
     □剛性率の算出(雑壁を考慮した剛性率について)

 項目:5.4.2 偏心率
   □水平剛性、剛心(ℓX、ℓY)、ねじり剛性KR、加力方向の水平剛性
    1)改良理論式
     a)鉛直部材の水平剛性 ③雑壁(雑壁の剛性の計算方法について)

    2)理論式
     a)鉛直部材の水平剛性 ③雑壁 ( 1)改良理論式と同様)

    3)技術基準式
     a)鉛直部材の加力方向の水平剛性Di ③雑壁(雑壁の剛性の計算方法について)


関連文書
NBUS00008 構造モデラ―シリーズの計算編マニュアルの参照方法を教えてください。
NBUS00011 『ヘルプ』の参照方法を教えてください。



文書情報

製品カテゴリ: 構造モデラー+NBUS7/+基礎/+COST 最終更新日: 2023-11-07
バージョン: 構造モデラーシリーズ Ver.1.x,
文書番号: NBUS00064
分類: 計算結果


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