全体崩壊形の緩和規定に対応できるよう『全体崩壊形におけるEoの割り増し』の指定を設けています。
DOC-RC/SRCでは全体崩壊形の確認は行いませんが、診断者判断で検討方向毎に割り増しを指定できます。
全体崩壊形の緩和規定
はりの曲げ降伏、壁の1階 脚部における曲げ降伏もしくは壁の回転が建物の耐震性能を支配して層降伏が生じないことが保証される場合は、指定によりEoを下式のように補正します。
Eo'=φm・Eo
φm=2(2n+1)/3(n+1)
ここに、
Eo':全体崩壊建物の保有性能基本指標
Eo :建物の保有性能基本指標
n :建物階数
φm:保有性能基本指標を補正するための係数
【注意】
1)層せん断力余裕率 fi
2017年版RC造診断基準 【解説】(b)E0指標の補正について では『第2次診断計算であっても、たとえばほぼ全階にまたがる連層耐震壁があり(中略)層せん断力余裕率 fi [式(解 3.2.1-15)]が当該階で0.25程度以上の場合には式(6)による割り増しを適用しても良い。』と記載がありますが、DOC-RC/SRCでは層せん断力余裕率 fi を求めていません。別途ご検討ください。
fi=Σ(Qsi-Qmi)/ΣQi (解 3.2.1-15)
fi:層せん断力余裕率
Qsi:曲げ型の耐震壁のせん断強度
Qmi:曲げ強度時のせん断力
ΣQi:各鉛直部材の負担せん断力の単純和
2)外力分布による補正係数
2017年版RC造診断基準 適用の手引き 項目:(3)3次診断の補正 では『ただし補正係数[φm]をφi=(n+1)/(n+i)によって算出する場合のみに適用する。』と記載がありますが、DOC-RC/SRCでは「n+1/n+i」以外の『外力分布による補正係数』を選択した場合も、『全体崩壊形におけるEoの割り増し』の指定を有効とします。
利用にあたりご注意ください。
3)耐震診断計算条件
2001年版RC造診断基準、2009年SRC造診断基準を指定した場合は
『全体崩壊形におけるEoの割り増し』の指定は無効となります。
【出力】
グラフィック出力
項目:11.1.1 2次診断表
・凡例に計算に考慮した「全体崩壊系におけるEoの割り増しΦm」を出力します。
・E0の欄には「全体崩壊系におけるEoの割り増しΦm」を乗じた値を出力します。