地震時軸力割増係数(α)の計算方法を教えてください。 [文書番号 : DOCR00859]
概要
特定の計算方法はありません。参考を回答いたします。
回答
地震時軸力割増係数(α)について特定の計算方法はありませんが、サポートへのお問い合わせを見ますと実務上はα=2程度(1.5~2.5程度)とすることが多いようです。
後述の参考文献と合わせ診断者判断のご参考としてください。
『2017年版既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準:「付録2 終局限界状態の応力と変形の算定」』
α=min(CT)/Co とし累積強度指標(CT)と弾性応力計算時のベースシェアー係数(Co)より求める方法が記載されています。他方で、梁が十分に強いと仮定するため、大きめのCTとなることを考慮し、CTによらず実務ではα=2程度(1.5~2.5)とすることが多い。とも記載されています。
『2009年改訂版既存鉄骨鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準』
α=Cmin/Co とし Cmin=min(CB、CTi)とし、外柱の柱脚部引張破壊を考慮したCB指標及び各層の累積強度指標CTiよりαを求める方法が記載されています。また、適用の手引きでは地震時変動軸力を「各階梁のせん断力から求める例」、「対象階の階高中央高さでの転倒モーメントから求める例」が記載されています。
『2017年改訂版 実務者のための耐震診断マニュアル』
RC造については終局時と弾性解析時の応力の比であり、IS=0.6を例にα=0.6/0.2=3.0。としながらも、実構造物では建物の浮き上がり等により前述ほど大きな値にならないと考えられα=1.5~2.0程度が良いと思われる。SRC造についても、α:架構の性状に応じて1.5~2.0程度の値とし過大な値としないこと。と記載されています。
【詳細】
・診断に考慮した軸力
計算結果出力(グラフィック出力)
項目:9.4 柱、壁の軸力
NSは短期軸力欄に記載します。
・終局強度の個別計算結果
[耐震診断]→[CSV形式ファイルの出力]→[終局強度の個別出力]より
確認する検討方向、柱・壁にチェックを入れ、部材の配置軸を指定し[OK]を押します。
Nsを考慮した部材耐力の計算結果詳細が確認できます。
・累積強度指標(CT)値
[耐震診断]→[CSV形式ファイルの出力]→[C-Fグラフ結果一覧(doccf.csv)]より
強度指標(CT)が確認できます。
参考
2017年版既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準 同解説
平成29年7月1日2017年改訂版発行
項目:(b)終局強度算定式について
(ⅰ)柱の軸方向力について
(ⅱ)壁の軸方向力について
項目:(4)累積強度指標CT
項目:付則1 柱
項目:付則2 壁
項目:(1)基本方針(終局強度算定に用いる~軸力は柱と同様とする。)
項目:(e)下から8行目 (耐力壁の回転モードについて)
項目:付録2 終局限界状態の応力と変形の算定 2.1.1 柱
項目:(2)柱軸力について
項目:(b)弾性応力計算の結果を用いる
2001年版既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準 同解説
平成17年2月25日2001年改訂版発行6刷発行
項目:(a)C-F関係
項目:(4)診断結果の所見 (上から11行目:累積強度指標Ctの計算式)
2009年改訂版既存鉄骨鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準 同解説
2009年12月1日2009年改訂版発行
項目:(f)柱の地震時変動軸力
項目:(g)外柱の柱脚部引張破壊を考慮したCB指標の算定
項目:2.3柱軸力の算定(第2次診断では…柱の地震時変動軸力を定めることはできない。)
2009年改訂版既存鉄骨鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準・改修設計指針 適用の手引き
2009年12月1日2009年改訂版発行
地震時変動軸力を各階梁のせん断力から求める例
項目:(3)強度指標Cの算定 (ⅰ)部材終局強度算定時の軸力について
地震時変動軸力を対象階の階高中央高さでの転倒モーメントから求める例
項目:(ⅰ)側柱の終局強度算定用地震時軸力の算定
2017年改訂版 実務者のための耐震診断マニュアル
平成29年11月 一般財団法人 建築士事務所協会
項目:(6)地震時変動軸力
項目:3 鉄骨鉄筋コンクリート造 3.1適用範囲と基本原則 (5)
DOC-RC/SRC Ver.10 概要編マニュアル
2021年 3月 初刷発行
項目:3.1計算条件
項目:3.2.2 弾性応力解析結果
項目:3.4.15 下階壁抜け柱の検討
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