例として下図のような温度勾配のある温度応力の計算式を示します。
温度変化について
設定した温度は平均温度変化Δtmと温度勾配Δtg/Dに分けられます。
Δt1:部材上端の温度差(Δt1 = tz - t0 = 30 - 10 = 20℃)
Δt2:部材下端の温度差(Δt2 = tz'- t0 = 20 - 10 = 10℃)
tz:部材上端の温度(設定位置が部材せいの1/2からtz=30℃)
tz':部材下端の温度(設定位置が部材せいの1/2からtz'=20℃)
t0:標準値の設定温度(t0 = 10℃)
D:部材せい(D=700mm)
Δtm:平均温度
Δtg/D:温度勾配
温度によるひずみ
温度変化により、ひずみが生じます。
平均温度変化Δtmにより、部材軸に軸ひずみαΔtmが生じます
温度勾配Δtg/Dにより、部材に曲率αΔtg/Dが生じます。
本例の場合
αΔtm =α × (Δt1 + Δt2) / 2 = 1.0 × 10-5× ( 20 + 10 ) / 2 = 1.5 × 10-4
αΔtg/D =α × (Δt1 - Δt2) / D = 1.0 × 10-5× ( 20 - 10 ) / 700 = 1.429 × 10-7
となります。
α:線膨張係数(1.0×10-5℃)
実際には何らかの形で変形は拘束されていますので、軸ひずみの拘束された分が軸力Nに、曲率の拘束された分が曲げモーメントMになります。
線膨張係数は単位長さにおける温度による長さの変化率で、材料(平面フレームでは断面)で入力します。
温度変化によって発生したひずみによる等価節点荷重
等価節点荷重の算出は、両端は固定と仮定します。
軸ひずみと曲率は完全に拘束されますから、次の式のような軸力Nと曲げモーメントMが生じます。
これらが等価節点荷重として与えられます。
Ni = E×A×α×Δtm
= 21682.83 × 2.8 × 105 × 1.0 × 10-5 × ( 20 + 10 ) / 2
= 910.68kN
Nj = -Ni
Mi = E×I×α×Δtg / D
= 21682.83 × 1.143 × 1010 × 1.0×10-5 × ( 20 - 10 ) / 700
= 66.97kN・m
Mj = -Mi
E:ヤング係数(E=21682.83N/mm2)
I:断面二次モーメント(I=1.143×1010mm4)
A:全面積(A=2.8×105mm2)
構造形式が立体フレームで+y、-yの温度勾配のある場合は本例で説明したΔtg/DのDをb(部材幅)と置き換えた曲げモーメントMzi、Mzjが与えられます。