[基礎構造]-[基礎応力計算]-[基礎フーチング・スラブ応力計算条件]の「杭の施工誤差」を考慮するとし、「杭反力」、「設計用応力Mf,Qf」、「基礎の偏心曲げ」をそれぞれ考慮するとした場合、[基本データ入力]-[杭基礎]-[杭基礎符号]で入力した杭施工誤差は計算にどのように考慮されますか。
[基礎構造]-[基礎応力計算]-[基礎フーチング・スラブ応力計算条件]の杭の施工誤差の指定により、以下のように杭の施工誤差を扱います。
- 「基礎スラブの鉄筋量計算時に考慮する」場合(「設計用応力Mf,Qf」にチェックした場合)
BUS-基礎構造Ver.4.0における杭の施工誤差は絶対値として扱い、プログラム内部で以下の4パターン に対して杭を移動した結果、最大となる柱面からの片持応力をそれぞれ安全側の結果として採用します。
(BUS-基礎構造Ver.4概要編マニュアルP.168)
例 ) |
施工誤差考慮前の杭芯座標を( x, y)とし、施工誤差 X方向、Y方向ともに100mmとした場合 |
検討1
検討2
検討3
検討4
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:
:
:
:
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(
(
(
(
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x
x
x
x
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+
-
-
+
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100,
100,
100,
100,
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y
y
y
y
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+
+
-
-
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100
100
100
100
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)
)
)
)
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柱面からの片持応力は、「7.3 杭の応力計算」の「7.3.2 設計用せん断力と曲げモーメントの計算」(BUS-基礎構造Ver.4概要編マニュアルP.167)に基づき、計算します。
施工誤差の入力がある場合、柱面からの片持応力の計算時、以下のように柱面から杭心までの距離に施工誤差を考慮します。
例 ) |
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施工誤差 c = 0 |
施工誤差 c > 0 |
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d:柱面から杭心までの距離
c:施工誤差
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xQF=2R
xMF=2R・dx
yQF=2R
yMF=2R・dy
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x右QF=2R
x右MF=2R(dx+cx)
y上QF=2R
y上MF=2R(dy+cy)
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x左QF=2R
x左MF=2R(dx-cx)
y下QF=2R
y下MF=2R(dy-cy)
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- 「杭反力計算時に考慮する」場合(「杭反力」にチェックした場合)
「基礎スラブの鉄筋量計算時に考慮する」場合と同様に、杭を移動した結果、最大となる杭反力をそれぞれ安全側の結果として採用します。
杭反力、杭軸力は、「7.1 杭反力、杭軸力の計算」の「7.1.2 軸力と曲げモーメントが作用する場合」((BUS-基礎構造Ver.4概要編マニュアルP.117,118)に基づき、計算します。
施工誤差の入力がある場合、杭反力R(=N/n±ΣM/Z)計算時の基礎底版面に平面保持が成り立つと仮定した時の断面係数Z(=ΣC^2/(C-基礎図心g))の原点を柱芯とした時の各杭芯の座標値Cに施工誤差を考慮します。
- 「基礎の偏心として考慮する」場合(「基礎の偏心曲げ」にチェックした場合)
施工誤差を杭の移動に伴う軸力作用点(柱心、基礎心)からの偏心として扱います。
例 ) |
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施工誤差 c = 0
軸力作用点 = 群杭心
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施工誤差 c > 0
軸力作用点 ≠ 群杭心
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施工誤差による偏心曲げモーメントを上部構造へ曲げ戻す際は、
付加曲げモーメントの合計=偏心付加M+鉛直または水平付加M+杭頭Mo
を割増す方向としています。
(BUS-基礎構造Ver4概要編マニュアルP.229)
※鉛直、地震等各荷重ケース時に対して割増す方向とし、長期、短期地震等荷重ケースの組合せ後の応力に対する割増し方向ではありません。
BUS-5の特殊節点荷重は正負符号の入力が有効であり、絶対値等で安易に戻すことはできません。
また、XY正負4方向に基礎ばりが接続する支点位置の基礎などについては、慎重な判断が必要となります。
従って、長期でも偏心曲げや(水平力が作用し)杭頭曲げが発生する場合は施工誤差を上部構造の曲げ戻しとして考慮することができますが施工誤差以外に付加曲げが発生しない場合は、割増す方向が不明であるため計算結果「KA-9.1 曲げ戻し応力一覧」において、「※以下に示す曲げモーメントは、杭の施工誤差による偏心曲げモーメント以外に生じる付加曲げモーメントがなく、割増す方向が不明なため曲げ戻しを行いません」と表記し、加算されていない応力の一覧表を出力します。
BUS-基礎構造で判断できない施工誤差分の曲げ戻しについては、特殊節点荷重として[構造計算共通条件]-[特殊荷重]-[特殊節点荷重]に手動にて入力してください。
BUS-基礎構造Ver.4 DB6.4.0.5より、施工誤差による偏心曲げモーメントはつぎのCSV形式ファイルに出力します。
CSVファイル名:PILE_CONSTRUCTION_ERROR_MOMENT.CSV
CSVファイル中の各項目の並びはつぎの対話入力画面(表形式入力)に準じた内容です。
BUS-基礎構造で判断できない施工誤差分の曲げ戻しなどを、そのままコピー&ペーストして[特殊節点荷重]の入力画面上へ貼り付けできます。
プルダウンメニュー[構造計算共通条件]-[特殊荷重]-[特殊節点荷重]および[曲げ戻し節点荷重]
※[曲げ戻し節点荷重]には、貼り付けできません。
■補足説明
計算結果内訳CSVファイルの出力
[出力]-[オプション]ダイアログの「CSV形式ファイルを出力する」にチェックを入れ、基礎構造計算を実行すると、[環境設定]の「ワークパス」で設定されているパスのFD1OUTフォルダ内に出力されます。