メッセージ「警告:W3111:孤立な自由度があります(**)」 [文書番号 : FAP00016]

概要
メッセージ「警告:W3111:孤立な自由度があります(**)」 の対処方法について説明します。
質問
メッセージ「警告:W3111:孤立な自由度があります(**)」 という警告が出てしまいます。 対処方法を教えてください。
回答
平面フレームでの場合を説明します
FAP-3では変位法で応力解析をしております。
変位法では、節点の拘束条件と部材剛性・接合条件から節点をバネとした時のバネ剛性を求め、 節点バネと外力からバネの変位を求めます。求めた節点変位より、部材の相対変位を計算し、応力を求めます。
この時のバネは、自由度の数だけその方向に作成され、各解析方法による自由度の数は、

平面トラス解析:2自由度(TX,TZ)
平面フレーム解析:3自由度(TX,TZ,RY)
平面格子ばり解析:3自由度(RX,RY,TZ)
立体トラス解析:3自由度(TX,TY,TZ)
立体フレーム解析:6自由度(TX,TY,TZ,RX,RY,RZ)

ここに、
TX:基準座標系のX軸方向
TY:基準座標系のY軸方向
TZ:基準座標系のZ軸方向
RX:基準座標系のX軸周りの回転
RY:基準座標系のY軸周りの回転
RZ:基準座標系のZ軸周りの回転

となります。
バネを作成する時に、剛性が0となるバネが作成された場合、FAP-3では警告メッセージを出力します。
この警告を無視して計算すると、その方向の自由度を無視して計算を行います。
つまり、自由度を無視した方向に節点荷重を加力した場合、この荷重は無視されてしまいます。

平面トラス架構を例に取って説明していきます。
まず、図1のような平面トラス架構を考えます。

この架構を平面フレームで入力するとします。
部材端の節点への接合条件は、図2のような入力を想像されるかと思いますが、このように入力すると不安定架構となり、節点CのRYの拘束がないという警告メッセージが出力されます。
これが平面トラスで入力されていれば、警告メッセージは出力されません。
平面トラスの場合、上で説明したようにTX、TZのみ節点バネを作成しますので、この2方向に対するバネは剛性を持たせることが出来ます。
これに対し、平面フレーム構造の場合は、TX、TZに加えRYの節点バネを作成しますが、節点CにはRYを拘束する成分がない為、RYの節点バネ剛性は0となってしまいます。
RYのバネ剛性が0ということは、例えばC節点に節点モーメントを加力した時、節点のRYに対する変位θYが無限大に変位してしまうことになり、不安定となってしまいます。
警告メッセージを無視して計算を続けると、節点Cの回転変位を無視して計算しますので、加力した節点モーメントを無視して計算することとなります。
節点にモーメントを加力していなければ、この警告メッセージを無視して計算を続行しても問題は御座いません。

警告メッセージの対処方法の一例を説明します。

結論から説明すると図3のように、
a部材の両端を固定
e部材のD節点側を固定
d部材のB節点側を固定
と変更すると、解析時に警告メッセージが出力されなくなります。
例えば先程説明したC節点の場合、RYの節点バネの剛性は、a部材により与えられます。
更に、他の部材はC節点に対してピン接合で接続されていますので、a部材のモーメントが他の部材に伝達されることはなく、結果としてピン接合となります。
C節点に曲げモーメントを加力した場合には、a部材にのみ伝達されます。
立体フレームにつきましては、6自由度の節点バネを考慮する形となり、部材の接合条件に面外方向Rzと捻れ方向のRxが加わってきます。
平面フレームでの3自由度に対する節点バネのイメージを6自由度に変更することによって、安易にイメージすることが出来るかと思います。

次に立体解析での例を説明します
[**]の部分がRxの場合
イメージ図
a:X方向部材
b:Y方向部材
c:Z方向部材

拘束条件(TX、TY、TZはすべて固定)
a:Rx:自由,Ry:固定,Rz:固定 (捻れ方向に対しての回転拘束自由)
b:Rx:固定,Ry:自由,Rz:固定 (Y-Z平面に対しての回転拘束自由)
c:Rx:自由,Ry:固定,Rz:自由 (Y-Z平面に対しての回転拘束自由)

ここに、
Rx:部材座標系のx軸周りの回転
Ry:部材座標系のy軸周りの回転
Rz:部材座標系のz軸周りの回転

この場合、節点の基準座標系RX方向拘束(X軸周りの回転拘束)がなくなり、節点がRX方向に回転してしまいます。
その為、不安定となります。

対処方法の一例を挙げますと、a部材のRxを固定とすることにより、節点のRXが拘束されます。
a部材に捻れ応力を伝えない為にRxを自由としている為、固定にすると捻れ応力が伝わってしまうように思いますが、b部材のRy、c部材のRzが自由(Y-Z平面に対しての回転拘束自由)な為、節点のRX方向変位が発生せず、a部材に捻れは伝わらなくなります。
修正後イメージ図
Ry、Rzに対しても、図を回転すると同様となります。



文書情報

製品カテゴリ: FAP 最終更新日: 2022-03-17
バージョン: FAP-3[Ver.6x],FAP-3[Ver.5x],
文書番号: FAP00016
分類: 計算方法


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