軸力と曲げモーメントに対する断面検定において、向きを考慮した検討を行います。
MED-3 Ver.4 テクニカルマニュアル 「3.4.1.2 断面検定 ■軸力と曲げモーメントに対する断面検定 ●非対称断面の場合」をご参照ください。
(例)山形鋼 ここでは、山形鋼を例に曲げモーメントに対する検討の計算例を示します。
断面
L-150×90×9×12×6(その 1)
鉄骨材料
SS400 ( F値 = 235 ( N/mm2 ) )
⾧期許容引張応力度 ft = 156.67 ( N/mm2 )
⾧期許容曲げ応力度 fb= 156.67 ( N/mm2 )
設計用曲げ応力
面内(y軸まわり)曲げ応力 My = 7.09 ( kN.m )
面外(z軸まわり)曲げ応力 Mz = -0.39 ( kN.m )
計算条件
- ボルト孔による断面欠損をしない
- 幅厚比による断面欠損をしない
- 2 軸曲げを考慮する
- 軸力を考慮しない
MED-3 Ver.4 テクニカルマニュアル「表 3.4.6 非対称断面の断面係数」をご参照ください。
P1 = 150 ( mm )
P2 = 90 ( mm )
Cy = 49.5151 ( mm )
Cz = 19.9577 ( mm )
Iy = 4845081.91 ( mm4 )
Iz = 1331116.56 ( mm4 )
より、
y軸まわりの断面係数
中立軸の上側の端部の断面係数Zy1 = Iy / (P1 - Cy) = 48217 ( mm3 )
中立軸の下側の端部の断面係数Zy2 = Iy / Cy = 97851 ( mm3 )
z軸まわりの断面係数
中立軸の左側の端部の断面係数Zz1 = Iz / Cz = 66697 ( mm3 )
中立軸の右側の端部の断面係数Zz2 = Iz / (P2 - Cz) = 19004 ( mm3 )
<曲げ応力度の計算>
設計用曲げ応力の符号は、
面内方向の場合:断面の上側が引張となる場合が正、下側が引張となる場合が負
面外方向の場合:断面の左側が引張となる場合が正、右側が引張となる場合が負
です。
・面内方向(y軸まわり)の曲げ応力度
My>0 より、断面の上側が引張側、下側が圧縮側となります。
引張側曲げ応力度 tσby
= My/Zy1
= 7.09 ( kN.m ) / 48217 ( mm3 )
= 147.0 ( N/mm2 )
圧縮側曲げ応力度 cσby
= My/Zy2
= 7.09 ( kN.m ) / 97851 ( mm3 )
= 72.4 ( N/mm2 )
・面外方向(z軸まわり)の曲げ応力度
Mz<0 より、断面の左側が圧縮側、右側が引張側となります。
引張側曲げ応力度 tσbz
= Mz/Zz2
= 0.39 ( kN.m ) / 19004 ( mm3 )
= 20.5 ( N/mm2 )
圧縮側曲げ応力度 cσbz
= Mz/Zz1
= 0.39 ( kN.m ) / 66697 ( mm3 )
= 5.8 ( N/mm2 )
<曲げ検定比の計算>
MED-3 Ver.4 テクニカルマニュアル
「3.4.1.2 断面検定 ■軸力と曲げモーメントに対する断面検定 ●非対称断面の場合」の
「2)2軸曲げを考慮する場合 ①軸力を考慮しない場合」
をご参照ください。
面内方向引張側-面外方向引張側
γb1 = ( tσby + tσbz ) / ft = ( 147.0 + 20.5 ) / 156.7 = 1.069
面内方向引張側-面外方向圧縮側
γb2 = | ( tσby / ft ) - ( cσbz / fbz ) | = | ( 147.0 / 156.7 ) - ( 5.8 / 156.7 ) | = 0.901
面内方向圧縮側-面外方向引張側
γb3 = | ( cσby / fby ) - ( tσbz / ft ) | = | ( 72.4 / 156.7 ) - ( 20.5 / 156.7 ) | = 0.331
面内方向圧縮側-面外方向圧縮側
γb4 = ( cσby / fby ) + ( cσbz / fbz ) = ( 72.4 / 156.7 ) + ( 5.8 / 156.7 ) = 0.499
max( γb1, γb2, γb3, γb4 ) = 1.069 > 1.0より、NG
断面計算結果の帳票には、以下のように出力されます。