DOC-3次診断Ver4.1とVer.5の計算結果が異なる [文書番号 : DOC300006]

概要
DOC-3次診断においてVer.4.1とVer.5で計算結果が異なる要因として考えられる変更点を一覧にまとめました。
質問
DOC-3次診断をVer.4.1からVer.5へバージョンアップしたら計算結果が以前と異なります。 どこが変わったのでしょうか。Ver4.1の結果に合わせることはできますか?
回答
DOC-3次診断をVer.4.1からVer.5にバージョンアップするに当たり仕様変更を行いました。
主な計算仕様の変更点と、Ver.4.1の結果を用いたい場合の対処方法を以下に示します。

※文中の[○○○]→[×××]の表記はメニューの選択手順を表します。

・建築防災協会および告示診断を選択した場合
No 現象 変更点・対処方法
1 RC造はりのせん断耐力が大きい。 変更点:
Ver.4.1ではRC造はりのせん断耐力計算にスラブの有効幅を考慮できませんでした。
Ver.5からは下記の指定が「考慮する」の場合にスラブの有効幅を考慮します。

[許容応力度等]→[保有計算-計算条件]→[部材の耐力算定式] の[RC・SRC造はりせん断耐力計算でスラブ有効幅の考慮]

対処方法:
[RC・SRC造はりせん断耐力計算でスラブ有効幅の考慮]を「考慮しない」と指定してください。
※ただし本指定はSRC造はりと共通です。本指定が「考慮する」の場合、SRC造はりはVer.4.1、Ver.5ともにせん断耐力計算にスラブの有効幅を考慮します。

2 地下階または搭屋階のある建物で診断結果が異なる。 変更点:
Ver.4.1では地下階と搭屋階を除いた範囲をF値計算の対象としていましたが、Ver.5より[許容応力度等]→[保有計算-計算条件]→[基本条件・終局時判定条件]→〔基本条件〕タブの「算定対象」で指定した階の範囲を対象とします。

対処方法:
F値の直接入力を行ってください。
[耐震診断]→[部材指定]→[F値の直接入力]
3 耐震壁の破壊タイプがWBからBWになった。 変更点:
破壊タイプ[柱脚部支配型壁]の判定条件を変更しました。
Ver.4.1:非埋め込み柱脚があり、曲げ先行のSRC壁で引張軸力が発生している
Ver.5 :非埋め込み柱脚があり、曲げ先行のSRC壁でTju/Ttop<1.3

対処方法:
破壊タイプの直接入力を行ってください。
[耐震診断]→[部材指定]→[F値の直接入力]
4 耐震壁の破壊タイプがWSからWB(またはBW)となり、F値が変化した。 変更点:
壁柱が引張破壊または圧縮破壊している場合、Ver.4.1ではせん断破壊扱いとしていましたが、Ver.5ではQmuとQsuにより破壊タイプを決定します。

対処方法:
破壊タイプとF値の直接入力を行ってください。
[耐震診断]→[部材指定]→[F値の直接入力]
5 柱型付壁のF値が異なる。
破壊タイプがWCRとなった。逆にWRではなくなった。
変更点:
柱型付壁の回転を検討する指定が下記のように変更になりました。
また、破壊タイプ記号をWR(Ver.4.1)からWCR(Ver.5)に変更しました。

Ver.4.1:耐震壁と同じく、[許容応力度等]→[保有計算-計算条件]→[基本条件・終局時判定条件]→〔基本条件〕タブの「浮上り(鉛直バネ)の考慮 」
Ver.5 :[耐震診断]→[計算条件]→[耐震診断計算条件]→〔3次診断〕タブの「柱型付壁の回転検討」

対処方法:
Ver.4.1で「浮上り(鉛直バネ)の考慮 」を「考慮する」としていた場合は「柱型付壁の回転検討」の指定を 「検討する」に変更してください。
6 柱型付壁のF値が異なる。
柱型付壁の破壊タイプがBWからWCBとなった。
変更点:
Ver.4.1では柱型付壁も両側柱付壁と同じF値計算を行っていましたが、2009年版SRC耐震診断基準の柱脚部支配型壁の規定は両側柱付壁を対象としたものであり、柱型付壁に用いて良いという記述が無いため、Ver.5では柱型付壁の場合は柱脚部を含まない壁として計算します。

対処方法:
破壊タイプとF値の直接入力を行ってください。
[耐震診断]→[部材指定]→[F値の直接入力]
7 増設ブレースの破壊タイプがタイプVになった。 変更点:
Ver.4.1では破壊モードの判定時に回転終局時係数γを考慮していましたが、Ver.5より耐震壁と同じくγは破壊タイプ判定時には用いないとしました。
耐震壁の場合、2009年SRC基準P157の下から6行目「回転壁であっても、wQsu/(γ・wQru)およびwQmu/(γ・wQru)は1より小さくなることがある」という記述より、破壊モードの判定にはγを用いておりません。

対処方法:
破壊タイプとF値の直接入力を行ってください。
[耐震診断]→[部材指定]→[F値の直接入力]
8 枠付増設ブレースのF値が1.5~2.6から3または3.5となった。 変更点:
二重鋼管座屈補剛ブレース・KTブレースがタイプVとなる場合、下記計算を追加しました。
 Qsu1/(γ・Qru)>1.1、かつ
 Qsu2/(γ・Qru)>1.1、かつ
 Qmu/(γ・Qru)>1.21 の場合は、
 F=3.0(RC造)
 F=3.5(SRC造)

対処方法:
破壊タイプとF値の直接入力を行ってください。
[耐震診断]→[部材指定]→[F値の直接入力]
9 SRC造のせん断ばり支配型柱の強度寄与係数が変わった。 変更点:
SRC造のせん断ばり支配型柱の場合、2009年版SRC耐震診断基準の適用の手引きP57の内容に従い強度寄与係数計算時にRsyを再計算します。

対処方法:
破壊タイプとF値の直接入力を行ってください。
[耐震診断]→[部材指定]→[F値の直接入力]


・総合耐震診断を選択した場合
No 現象 要因・対処方法
1 総合耐震診断でA~C部材がD部材になった。 変更点:
Ver.4.1では付着割裂の検討を行っておりませんでした。 Ver.5から[許容応力度等]→[保有計算-計算条件]→[解析モデル・条件等]→〔部材種別〕タブ の「付着割裂の検討」を有効にしました。

対処方法:
「付着割裂の検討」で「全部材の検討を行わない」を指定してください。



文書情報

製品カテゴリ: DOC-3次診断 最終更新日: 2018-03-22
バージョン: DOC-3次診断[All],DOC-3次診断[ver.4.x],DOC-3次診断[ver.5.x],
文書番号: DOC300006
分類: 計算結果


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