耐震壁に付帯するRC柱の断面計算に、耐震壁と直交する方向の地震力によって耐震壁が負担した軸力を考慮する方法について [文書番号 : BUS00887]

概要
Y方向に戸境壁を有するモデルの場合、Xラーメン方向の地震時に対し、Y架構の直交壁が負担した応力を付帯柱の断面計算に考慮する方法について
(例題:X方向:純ラーメン構造・Y方向:耐震壁付きラーメン構造)
解説
BUS-5 Ver.1.0.5.*(DB6.5.0.*)での計算仕様

応力解析モデルで、地震時の軸剛性のモデル化は、下記の様に形状通りの評価となります。

・  柱  : 入力断面とラーメン方向に取り付くそで壁剛性のみ評価した軸剛性
・耐震壁 : 壁板の断面積による軸剛性で、エレメント置換で評価

よって、ラーメン方向の加力時も直行する耐震壁が軸剛性分の軸力を負担した応力状態になります。
但し、許容応力度計算で、壁の断面算定はせん断力に対しての検討しか行っていないため加力と直交方向の壁が負担した軸力の処理は現在、設計者の判断で別途に検討して頂く仕様となっています。

BUS-5 Ver.1.0.5.12(DB6.5.0.12) から出力オプションでCSV出力の指定がある場合で耐震壁が存在する場合は、下記の2つのCSVファイルが出力されます。

・壁(壁エレメント置換、ブレース置換)が負担した応力の付帯柱への分配過程が確認できる
「壁付帯柱負担軸力(許容応力度等計算).csv」
・壁負担応力を分配後の付帯柱の断面計算結果詳細出力
「BUS_M_SRC_C_壁負担応力考慮.csv」

上記の2つのCSVファイルにより、壁が負担した応力を付帯柱の柱軸力に考慮する過程と、付帯柱の柱軸力を考慮した断面算定結果が確認できます。
但し、通常に出力されるRC柱の断面算定結果の帳票には、この結果は反映しないため、
「BUS_M_SRC_C_壁負担応力考慮.csv」に「NG」が在ってもメッセージの出力は行われません。
よって、追加検討書として別途検討される場合の補助出力としてお使い頂く事になります。
詳細
「壁付帯柱負担軸力(許容応力度等計算).csv」と「BUS_M_SRC_C_壁負担応力考慮.csv」の出力内容について
【耐震壁と直交するX方向正加力時に耐震壁が負担した応力を柱に考慮する場合の説明】



※==【「BUS_M_SRC_C_壁負担応力考慮.csv」で壁負担応力を考慮した柱の断面算定結果の確認】==※
(全ての荷重ケース毎の2軸組合せ検討が出力されますが、ここでは、X方向正加力時の「荷重ケース:K1」で確認します)


補足
上記の検討方法以外の案としては下記の方法も考えられるかと思います。

・壁が負担した軸力は壁の鉄筋やコンクリートで処理する案。
鉛直荷重時の応力解析モデルをどの様に設定するかも影響しますが、応力解析で求まった壁軸力の鉛直荷重時と地震時を加算し、短期軸力として壁の軸力に対する検討を行えば、各部材が負担している応力は個材で処理できている事が証明されますので、解析モデルと断面算定の整合が取れるかと思います。
(引張力の場合は軸力を壁の縦筋が負担するとし、圧縮力の場合は壁板のコンクリートが負担するとして検討)

CSVをご利用頂くか、上記の案を参考に設計者として追加検討するか、適切と思われる対応を行って頂けますか。
また、BUS-5 Ver.1.1.6.0(DB6.6.0.0)で下記の選択枝を用意し、出力の断面算定の帳票で付帯柱の設計軸力に壁応力を考慮した軸力で検討出来る様になりました。
よって、「BUS_M_SRC_C_壁負担応力考慮.csv」出力はなくなり、下記の設定による結果が「「BUS_M_SRC_C.csv」に出力されます。


1=柱軸力に加算しない (← DB6.5.0.12 までの出力と同じ結果)
2=壁板軸力の1/2を両側の柱軸力に加算する
3=壁板軸力の1/2と壁板の曲げモーメントを両側の柱軸力に加算する (← DB6.5.0.12 以降のCSV出力と同じ結果)

[許容応力度等]→[許容計算-断面計算]→[断面計算条件]の「計算条件(RC・SRC)」タブの最下段で選択可能です。



文書情報

製品カテゴリ: BUS-6/5 / 基礎構造 / COST 最終更新日: 2017-12-12
バージョン: BUS-5[ver1.x],
文書番号: BUS00887 バージョンの制限: DB6.5.0.12以降
DB6.6.0.0以降では断面検定で考慮可能
分類: 計算方法


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