[耐震診断]-[計算条件]-[耐震診断計算条件]の[1、2次診断]タブ、[3次診断]タブで2次診断と3次診断の計算条件の偏心率、剛重比(剛性率)について、2次・3次それぞれ診断基準か精算法かを選択できます。
このとき、プログラムでは下記のように2次診断と3次診断で計算方法が異なります。
表1 偏心率、剛重比(剛性率)の計算方法の比較
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診断基準
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精算法
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2次診断
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診断基準に記載のある方法で偏心率・剛重比を求める。(常に雑壁を考慮)
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地震時応力計算結果の偏心率・剛性率を用いる。(常に雑壁を考慮)
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3次診断
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地震時応力計算結果の偏心率計算を用い、剛重比も地震時応力計算結果の層間変形角を用いる。(雑壁の考慮は指定による)
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地震時応力計算結果の偏心率・剛性率を用いる。(雑壁の考慮は指定による)
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※3次診断時の雑壁考慮の指定は[許容応力度等]-[保有計算-計算条件]-[計算条件]の[基本条件]タブの「剛性率・偏心率」で行うことができます。
診断基準を選択した場合、2次診断時は、簡便のための断面積を用いて剛性を評価する方法(診断基準記載の略算式)から求めた剛心位置を偏心率計算に使用していますが、3次診断時は、はり剛性を含めて考慮するため、地震時応力解析結果による部材のせん断力(Q)と水平方向の変位(δ)から剛性(D値)を算定して剛心位置を求めて、偏心率計算を行っています。
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診断基準を選択した場合
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DOC-RC/SRC
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1 )
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偏心率
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偏心距離eと回転半径iより、以下のように偏心率lを算出し、2001年版RC診断基準、2009年版SRC診断基準の項目の分類およびG、R一覧表に基づき、グレードGlを設定します。
※2次診断時の重心位置、剛心位置、回転半径の算出に関しましては、DOC-RC/SRCの概要編マニュアルをご参照ください。
l = e/(i×√12)
l ≦ 0.1 のとき
Gl = 1.0
0.1 < l ≦ 0.15 のとき
Gl = 0.9
0.15 < l のとき
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2 )
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剛重比
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2001年版RC診断基準に記載のある簡便のための断面積を用いて剛性を評価する方法により、剛重比を算出します。
グレードGnは以下のnより、2001年版RC診断基準、2009年版SRC診断基準の項目の分類およびG、R一覧表に基づき設定します。
n = {(上階の剛重比)/(当該階の剛重比)}×β
ただし、当該階が最上階の場合には、上を下と読みかえます。
β = (N-1)/N (Nは支える床の数で最上階はβ = 2.0)
n ≦ 1.3 のとき
Gn = 1.0
1.3 < n ≦ 1.7 のとき
Gn = 0.9
1.7 < n のとき
Gn = 0.8
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DOC-3次診断
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1 )
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偏心率
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以下のように、地震時応力計算結果の偏心距離eとねじり剛性Drによる偏心率Re(=l)より、2001年版RC診断基準、2009年版SRC診断基準の項目の分類およびG、R一覧表に基づき、グレードGlを設定します。
※3次診断時の重心位置、剛心位置、ねじり剛性の算出に関しましては、DOC-3次診断の概要編マニュアルをご参照ください。
Re = e/Dr (=l)
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2 )
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剛重比
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地震時応力計算結果を用いて、以下のように剛重比を計算します。
建物の層剛性 = (作用する水平力Q)/(層間変位δ)
剛重比 = (層剛性)/(その階より上の建物全重量)
グレードGnはDOC-RC/SRCと同様に以下のnより、2001年版RC診断基準、2009年版SRC診断基準の項目の分類およびG、R一覧表に基づき設定します。
n = {(上階の剛重比)/(当該階の剛重比)}×β
ただし、当該階が最上階の場合には、上を下と読みかえます。
β = (N-1)/N (Nは支える床の数で最上階はβ = 2..0)
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精算法を選択した場合
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DOC-RC/SRC
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1 )
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偏心率
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地震時応力計算結果の偏心率より、偏心率により割増係数Fs(1.0 ≦ Fs ≦ 1.5)を算出し、以下のようにグレードG'lを求めます。
G'l = 1/Fs
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2 )
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剛重比
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地震時応力計算結果の剛性率より、剛性率による割増係数Fe(1.0 ≦ Fe ≦ 2.0)を算出し、以下のようにグレートG'nを求めます。
G'n = 1/Fe
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DOC-3次診断
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1 )
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偏心率
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DOC-RC/SRCと同様にグレードG'lを算出します。
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2 )
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剛重比
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DOC-RC/SRCと同様にグレードG'nを算出します。
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3次診断時の形状指標を2次診断と同値としたい場合には、偏心率、剛重比(剛性率)の計算方法を精算法として、雑壁を考慮すると設定するか、[耐震診断]-[形状指標]-[形状指標算出、偏心率、剛重比]より、2次診断時の偏心率、剛性率を直接入力する必要があります。