基礎の転倒モーメント耐力 [文書番号 : DOCS00009] 概要
基礎の転倒モーメント耐力を考慮したS造耐震診断計算を行いたい。 質問 基礎の転倒モーメント耐力を考慮するためにはどのような操作が必要でしょうか? 回答
データベース番号6.4.0.6(2012年3月上旬公開)より「基礎の転倒モーメント耐力」機能を公開しました。 概要編マニュアルP108「基礎柱、基礎回転バネ」「2)基礎回転バネ」と異なる部分を訂正させていただきます。 1.必要となる入力項目 以下の入力が全て必要となります。 ・耐震診断計算条件において「基礎の転倒曲げの考慮」を「考慮する」に変更します。 ・基礎の下端レベルの設定を行います。 ・杭基礎符号または独立基礎符号の入力と配置を行います。 ・杭基礎符号の場合、杭符号に支持力を入力します。 または独立基礎符号の場合、地盤長期許容支持力度の入力をします。 ・支点(鉛直・回転)において弾性解析で用いる支点回転剛性を「固定」または「半固定」とします。 保有計算に用いる回転バネの復元力特性は「設定解除」にして下さい。 「設定解除」の状態では弾性解析で用いた支点の回転剛性を、耐力は自動計算します。 ※ピン支点(=デフォルト)の場合は計算対象外となります。 ※増分解析・節点振り分け法では「固定」は考慮されないので、必ず「半固定」にして下さい。 もしも「固定」に近い結果を求める場合は、充分に大きな回転剛性を入力して下さい。 2.対象架構 ・加力方向に対して基礎ばりがない、杭基礎・独立基礎を対象とします。 ・解析モデルは杭一体解析モデルを除くものを対象とします。 3.計算手順 基礎の転倒曲げモーメント耐力(fMu)は軸力に応じて耐力が変動します。本プログラムでは保有水平耐力計算条件の 「終局時Co」の値での弾性短期応力状態より基礎に加わる軸力から算出します。また基礎の転倒曲げモーメント耐力は 基礎下端位置での評価となります。本プログラムでの支点位置は基礎ばり心位置となります。そのため、以下のようにして 支点位置での換算基礎の転倒曲げモーメント耐力を算出することで計算に考慮しています。 fMu'=fMu - Qxh ここで、 fMu':支点位置での換算基礎の転倒曲げモーメント耐力 fMu :基礎下端での基礎の転倒曲げモーメント耐力 屋体基準H18年版第2刷 (3.9.1~3.9.2、3.9.4)式 Q :支点に集まる部材からのせん断力 h :支点と基礎下端までの距離 注意
上記1~3により基礎の転倒曲げモーメント耐力を考慮したS造耐震診断計算を行うことができます。しかし、この結果は終局時Co時の 応力状態を仮定した軸力等の結果です。この結果に対しての確認は出力「U-4.6.2 基礎転倒モーメントの確認」で可能です。 もしもこの出力でNGとなる場合、Is値・qi値を満たしていてもQuを過大評価している。または倒壊する 危険があるとして(1-b)で判定します。 このような場合、参考値として出力されている値fMu’を保有計算に用いる回転バネの耐力に直接入力すること※を 何度か繰り返すことでメカニズム応力が得られ、判定もOKとなります。基礎の転倒曲げを考慮される場合は この操作を強くお勧めいたします。 ※回転ばねの耐力を直接入力する場合、保有計算に用いる回転バネの復元力特性は「設定」にして下さい。 この時の入力値は以下でお願いします。 ・回転剛性はモデルの連続性の観点から弾性解析で用いた値を入力して下さい。 ・曲げ耐力は時計回り・反時計回り共に入力して下さい。 ・時計回りの曲げ耐力は正加力時に用い、反時計回りの曲げ耐力は負加力に用います。 関連文書 DOCS00010 基礎転倒曲げの選択計算文書情報
|