両側柱付き壁(以降、耐震壁)の内蔵鉄骨ブレ―スはX形、K形ブレースを対象とし、SRC造耐震診断計算時のせん断耐力(Qsu)に考慮しています。鋼板、階の構造種別をRC造とした層への内蔵鉄骨ブレ―ス配置は無効としています。
仕様の詳細について回答します。
耐力について
曲げ耐力(Mu)
耐震壁の内蔵鉄骨ブレースは曲げ耐力に考慮されません。
完全塑性理論計算時の壁版の断面ピースに鉄骨量として含みません。
せん断耐力(Qsu)
耐震壁のせん断耐力(Qsu)に内蔵鉄骨ブレースによるせん断終局強度(sQu)を加算します。
内蔵鉄骨ブレースによるせん断終局強度(sQu)の計算方法
sQu=DA・Bσy・cosθ
sQu :耐震壁の内蔵鉄骨ブレースによるせん断終局強度(N)
DA :鉄骨ブレースの断面積(mm2)(引張側および圧縮側の2面の断面積を考慮します。)
Bσy :鉄骨ブレースの降伏点強度(N/mm2)
θ :鉄骨ブレースの水平軸とのなす角度
(X形、K形ブレースの指定により、節点座標からθを自動計算します。
節点座標は、意匠階高、意匠スパンより求めた壁の各節点の意匠座標を用います。)
2009年SRC造診断基準57頁『DA』の凡例では『DA:鉄骨ブレースの断面積(㎜2) ただし、圧縮側ブレース座屈を生じない場合には、圧縮側の断面積を加算することができる』としています。
弊社では耐震壁内の圧縮側ブレースの座屈判定を行う文献が確認出来きていませんが、DOC-RC/SRCではコンクリートの拘束により座屈が生じないと想定し、引張側及び圧縮側双方の断面積を有効としています。計算方法がモデル化意図と異なる場合は、後述の耐力の直接入力をご利用ください。
【操作】
内蔵鉄骨ブレースの指定方法
1) [基本データ入力]→[壁]→[壁鉄筋名称]より
『SRC内蔵鉄骨タイプ』を選択し、「断面積(cm2)」を指定し登録してください。
2) 1)で登録した壁鉄筋名称を壁形状でご指定ください。
内蔵鉄骨ブレースの材料の指定方法
共通条件: [材料データの入力]→[使用鉄骨]タブより、[ブレース]欄で指定できます。
材料データの個別指定: [材料データの個別指定]→[使用鉄骨]より、[ブレース]欄で指定できます。
降伏点強度: [計算条件]→[鋼材の降伏点強度、破断強度指定] より
指定した使用鉄骨について降伏点強度を指定してください。
耐力の直接入力
[耐震診断]→[部材耐力]→[壁耐力直接入力(2次診断)]より、曲げ耐力、せん断耐力を指定できます。
剛性について
内蔵鉄骨ブレース部は考慮していません。
重量について
内蔵鉄骨ブレース部は考慮していません。
破壊タイプ、靭性指標について
破壊タイプについては上記の内蔵鉄骨ブレースを考慮した耐力より求めています。
靭性指標については2009年SRC造診断基準259頁下から1行目から260頁上から1行目に『本基準のせん断壁に対する靭性指標F=1.27(部材角R=1/150=6.66×10-3rad.)は妥当といえる』と記載がありますので一般の壁と同様にF値を求めています。
【操作】
破壊モード・F値の直接入力
[耐震診断]→[部材指定]→[F値の直接入力]→〔壁・ブレース・増設壁〕タブ より
破壊タイプ、壁・ブレース・増設壁のF値(個材)により指定できます。
※連スパン耐震壁は一連の壁にモデル化されます。直接入力値は伏図上では一連の壁の左寄りまたは下寄りの壁に指定してください。
【出力】
グラフィック出力
項目:1.4.6 壁鉄筋名称 欄の[内蔵鉄骨]より入力値を確認できます。
計算詳細(CSV形式出力)
耐震診断]→[CSV形式ファイルの出力]→[終局強度の個別出力]より
確認する検討方向、柱・壁にチェックを入れ、部材の配置軸を指定し[OK]を押します。
Qsu計算欄の下段にsQuの計算結果を出力しています。