そで壁付き柱も下階壁抜け柱の検討対象となりますか。 [文書番号 : DOCR00882]

概要
検討対象とします。
回答
そで壁付き柱も下階壁抜け柱の検討対象としています。
ただし、検討はそで壁部を除いた柱部に対する検討としています。
下記1)~3)の方法で検討し結果をCSV形式で参考出力しています。

【計算方法】
1)下階壁抜け柱の地震時軸力を α 倍して長期軸力に加算して検討する方法
下階壁抜け柱の検討1(nowall.csv) ※α:地震時軸力割り増し係数

2)「東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化推進に係る耐震診断マニュアル※」により検討する方法
下階壁抜け柱の検討2(nowall1.csv)
※以降、耐震診断マニュアルと称します。

3)弾性の応力解析結果より検討する方法
下階壁抜け柱の検討3(nowall2.csv)

※計算方法の詳細は後述のDOC-RC/SRCの概要編マニュアル『項目:3.4.15 下階壁抜け柱の検討』をご参照ください。


【注意】
・SRC造については、RC造と同様に計算します。
 2)、3)の計算では引張側柱の引張降伏時軸力(Ns2)計算時に柱軸方向耐力にsAg・sσy:鉄骨全断面積×降伏強度を加算します。
・地震時変動軸力の直接入力がある場合は、直接入力値に地震時変動軸力割り増し係数を乗じ優先して用います。
・Is値の補正・再評価については自動計算していません。
 1)2)3)それぞれのCSV出力で補正係数を計算していますので別途に計算診断者様にて補正・検討を行ってください。
・『2)耐震診断マニュアルによる方法』では、Ns1(上階の壁がせん断破壊もしくは曲げ降伏するときの軸力)計算時に、ΣQcu: 壁抜け階の柱のQu の合計を考慮します。この時、柱のQuにはそで壁を考慮したQu用います。

・『3)弾性の応力解析結果より検討する方法 』は多様な形状に対応するため弊社で設けた方法です。
 参考文献等はありません。後述の参考文献よりDOC-RC/SRCのマニュアルをご参照ください。

・2)、3)の計算では、地震時に引張になる柱は検討対象外とし下記のメッセージを出力しています。
 メッセージ『注:地震時変動軸力は引張となりますので、検討対象としません。』ご注意ください。

・耐震壁が1層分であっても下階壁抜け柱の形状となっていれば検討対象とします。

操作
下階壁抜け柱の検討結果
[耐震診断]→[CSV形式ファイルの出力]より、下記の何れかの項目を指定し、対象となる柱の計算結果をご参照ください。

1)下階壁抜け柱の検討1(nowall.csv)
下階壁抜け柱の地震時軸力に地震時軸力割り増し係数を考慮して長期軸力に加算して検討する方法

2)下階壁抜け柱の検討2(nowall1.csv)
「耐震診断マニュアル」の内容より検討する方法

3)下階壁抜け柱の検討3(nowall2.csv)
弾性の応力解析結果より検討する方法

応力図の確認方法
[ウインドウ]→[応力図]より応力図が表示できます。
右クリックし、ショートカットメニューの中から「応力図の表示設定」により表示を切り替え、『地震時』をご参照ください。地震時の負担軸力を確認できます。

破壊モード図
[ウインドウ]→[耐震診断計算]→[破壊モード]を押し破壊モード図を表示します。
下階壁抜け柱となる柱に『▲』マークが描画されます。


参考
学校施設の耐震補強マニュアル(RC造校舎編)《2003年改訂版》
文部科学省(平成15年 第1刷)
項目:3.2.3下階壁抜け柱の検討
項目:6.3.5下階壁抜け柱の検討

「東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例」に関する実務者講習会テキスト
平成26年
項目:3.12下階壁抜け柱の検討
項目:4.8下階壁抜け柱の検討

2017年版既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準 同解説
平成29年7月1日2017年改訂版発行
項目:【本文】付則6 下階壁抜け柱
項目:【解説】付則6 下階壁抜け柱 解付図6-3 壁抜け柱の検討例フロー
項目:【解説】解説3.2.1(4)(d)軸耐力の算定

2017年版既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準 適用の手引き
平成29年7月1日2017年改訂版発行
項目:5.5第2種構造の検討と終局変形

2009年改訂版既存鉄骨鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準 同解説
2009年12月1日2009年改訂版発行
項目:2.4下階壁抜けフレームの軸力

DOC-RC/SRC Ver.10 概要編マニュアル
2021年 3月 初刷発行
項目:3.4.15 下階壁抜け柱の検討

2017年改訂版 実務者のための耐震診断マニュアル
平成29年11月 一般財団法人 建築士事務所協会
項目:2.7.7下階壁抜け柱の検討
項目:4.8下階壁抜け柱の検討

Q&A集『2017年改訂版 既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準・耐震改修設計指針・同解説 質問・回答集(2018.12.25)』
No.74


補足
参考文献調査の結果、弊社ではそで壁部の考慮について明確な記述を確認できませんでした。
ですが、下記のような記述が見受けられましたのでお伝えいたします。

2017年版RC造診断基準 同解説
【解説】付則6 解付図6-3 壁抜け柱の検討例フロー

(1)壁抜け柱に作用する軸力Nsの再評価(例) では
全体曲げ降伏時の軸力Ns2の算定において、『(中略)面内の袖壁の軸方向筋を考慮する。』と記載があります。

(3) 高軸力に対する検討 では
軸力比の算定 において、『(中略)袖壁による寄与を考慮してNsからその負担分を減じてよい。(解説3.2.1(4)(d)参照)』と記載があります。
関連文書
DOCR00727 地震時軸力割増係数(α)を考慮した柱軸力(NS)の計算方法を教えてください。
DOCR00857 プログラムのマニュアルの参照方法を教えてください。



文書情報

製品カテゴリ: DOC-RC/SRC 最終更新日: 2021-03-12
バージョン: DOC-RC/SRC[All],
文書番号: DOCR00882
分類: 計算方法


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