等時間日影計算における誤差について [文書番号 : LABS00066]

概要
等時間日影計算では、必ずある程度の誤差が含まれます。 この、ある誤差がなぜ含まれてしまうのかを解説いたします。
解説

等時間線は(ごく単純な形状の建物を除いて)が精算法がありません。
つまり必ずある程度の誤差を含む事になります。
LAB-Sシリーズでは、追跡法(※1)という手法で等時間線を求めています。

仮にA時間の等時間線を求める場合でしたら、何らかの方法(LAB-Sシリーズの場合、メッシュ法)で日影時間がA時間となる点を求め、その点を基準点とし周囲の日影時間を計算し、日影時間がA時間になる点を次の点として、基準点と繋ぐ事を繰り返して等時間線を求めていきます。(※2)
この様に、実際には建物の形状や基準点の建物に対する方向から、ある程度、どっちに等時間線が進むかは推測できますからその方向を中心に調べます)

この時、日影時間がA時間であると判断する精度が1.5秒~10秒前後になります。

次の点までの距離は建物形状や規模で初期値を決めますが、その位置にA時間になる点がない場合、次の点までの距離を最小2cm前後まで短くしていきます。
ただし次の点までの距離が2cm前後になりましたら、前述した精度に係らず、5時間に最も近い点を次の点と見なします。

ですから、日影時間が2cm以下の距離で大きく変化する場合は、誤差はそれに追随する事になります。

こうした僅かな距離の違いで日影時間が大きく変化する現象は、建物の北側でよく発生します。
特に建物が東西に伸びており、屋根部分には凹凸がある場合に顕著です。

顕著に表れる例を用意いたしました。

建物の北側では建物の屋根越しに12時前後の日が当たります。
12時前後は短くなってきた影が長くなりだす時刻です。
その付近は、短い時間間隔で影になったり日が当たったりを繰り返しますので、狭い範囲で日影時間は細かく変化します。

そうしますと、その付近における等時間線の誤差は大きくなります。

例では、1cm間隔で36点の日影時間を計算していますが、隣り合った(1cmしか違わない)点の日影時間が90秒近く変化している場所があります。
そうしますと、前述の次の点までの距離が仮に最小の2cmになったとしても、1~2分近くずれる可能性がある事になります。

1cmというと、これは1/100の図面上で0,01mmですから、仮に0.3mmの線幅で作図するとほぼ重なっている事になります。
ですから、クリアしているかどうかの判定は、誤差を考慮する必要があります。

基本的には等時間線と測定線の間隔が2cm以下の場合は測定線上の日影時間を確認して下さい。

また今回の例の様に東西に伸びた建物の12時前後の影が落ちる部分は前述の様に狭い範囲で日影時間が変化しますので、等時間線と測定線の間隔が2cm以上でも、最も等時間線と近い測定線上の点につきましては、日影時間の確認をした方が安全です。(※3)

(建築基準法施行令規則第一条の三で指定されている表三(三十)の「日影図」で「測定線上の主要な点の日影時間」を図示する事が求められていますが、多くの審査機関が上記のように等時間線が測定線に接近している点を「主要な点」として指定しています)

補足

(※1)追跡法の説明が、メニュー[ヘルプ]→[ユーザーズマニュアル] の【第5章 概要と計算について】の「5.4.3等時間日影図」にございます。
(※2)[ユーザーズマニュアル]5-30ページの図をご参照ください。
(※3)日影時間の確認方法は、日影計算コマンドの「日影チャート計算」機能を使って確認することができます。
日影チャートは精算解が求められます。LAB-Sシリーズでは秒単位で日影時間を求めており、秒以下は安全側になるように丸めています。
[リファレンスマニュアル]2-13ページの説明をご参照ください。




文書情報

製品カテゴリ: LAB-S シリーズ 最終更新日: 2010-09-28
バージョン: LAB-SS[Ver.1.x],LAB-S1[All],LAB-S1[ver.1.x],LAB-S1[ver.2.x],LAB-S1[ver.3.x],LAB-S1[ver.4.x],LAB-S2[All],LAB-S2[ver.1.x],LAB-S2[ver.2.x],
文書番号: LABS00066
分類:


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