適合建物の壁面後退距離は建築基準法施行令第百三十五条の六の1項二号で、
「計画建物の壁面後退距離が適合建物の壁面後退距離以上になるように(要約)」と規定されています。
つまり計画建物の壁面後退距離をAmとすると、
適合建物の壁面後退距離は0m(壁面後退無し)~Amの間で任意に設定できる事になります。
壁面後退距離によって天空率は変化します。基本的には
1.算定点から見て建物が遠い(壁面後退距離が大きい)ほど天空率は大きくなります。
2.算定点から見て建物が大きいほど天空率は小さくなります。
壁面後退距離を大きくすると、1.から天空率は大きくなりますが、
建築基準法第五十六条2項の緩和規定から適合建物は大きくなり、2.から天空率は小さくなります。
壁面後退距離を変化させると上記の1.と2.の変化が同時に起きますので天空率は複雑な変化をする事になります。
一般に、ある敷地境界線の算定点で適合建物の天空率が最小になる距離は、
前述の表現を使えば、0mより大きくAmより小さくなります。
(算定点位置、敷地形状、建物形状などによっては0mまたはAmである事もありえます)
ですから、適合建物の壁面後退距離を0m~Amの範囲で変化させれば、適合建物の天空率を小さくして、計画建物以下にする事が出来る場合があります。
LAB-SSの「壁面後退距離の最適化」は、
自動作成した適合建物と計画建物の天空率を比較して、計画建物の天空率が適合建物の天空率を下回っている算定点がある場合、
その算定点毎の不足の総和が最小になるように壁面後退距離を設定します。
勿論、この処理だけで完全にクリアできる場合は少ないですが、不足分が最小になりますので、計画建物の修正が少なくてすむ事が期待できます。