2017年版基準の割線剛性のねじり剛性計算時について、平面傾斜する鉛直部材の傾きに対しての法線方向の距離を考慮して計算していますか。 [文書番号 : DOCR00852]

概要
考慮した計算としています。計算方法について説明します。
回答
対応する以前とは計算方法が異なります。以前の計算方法を合わせて記載いたします。

DOC-RC/SRC Ver9.0.9.10 DB6.9.1.10 (公開:2019年4月)以前は対応していませんでした。
対応以前の計算方法
 部材主軸が平面的に傾斜している場合、傾斜部材は基準XY軸方向へ水平になるように置換していました。
 部材剛性は方向毎に計算しKx=K・cosθの二乗、Ky=K・sinθの二乗とし、距離は剛心位置から部材中心までのX方向、Y方向の座標距離としていました。ねじり剛性は下記のように計算していました。

KR=Kx・Y2+Ky・X2
 ここで、

 Kx:K’×cos2θ
 Ky:K’×sin2θ

 K':部材主軸方向の剛性
 X:剛心から部材中心までのX座標距離
 Y:剛心から部材中心までのY座標距離

下図のように長さは剛心位置から部材中心までのX方向、Y方向の座標距離としていました。



DOC-RC/SRC Ver9.0.9.11  DB6.9.1.11 (公開:2019年5月)以降より対応しました。
対応後の計算方法
 建築防災協会発行の2017年基準及びQ&Aにに記載された正しい計算方法とするため計算方法を変更しました。 以前の計算方法へ戻す指定を設けていません。 部材が平面的に傾斜している場合、下記のように傾斜部のねじり剛性を計算します。

KR=Kx・L12+Ky・L22
 ここで
 L1、L2:部材軸に対して剛心から引いた垂線の長さ
 θ:主軸の平面傾斜角

下図のように部材軸に対して剛心から引いた垂線の長さを考慮しています。




【鉛直部材について】
・耐震壁はフレームの平面傾斜角θと主軸方向の剛性を考慮します。
・傾斜フレームで、連続する耐震壁が中折れになっている場合
 中折れの角度が 5゜以内の場合は、始端の柱から終端の柱を結ぶ直線上に耐震壁があるものとします。
 中折れの角度が 5゜を超える場合は、スパン毎に別の壁として計算を行います。
 部材耐力計算時の中柱の負担軸力は両側の耐震壁が等分に負担します。
・柱及びそで壁付柱は柱の主軸の回転角を考慮し、X方向・Y方向のそれぞれの主軸方向の剛性を考慮し計算します。
・フレーム外雑壁は指定した回転角θ、フレーム内雑壁はフレームの平面傾斜角θを考慮し計算します。

【注意】
耐力のグルーピング時は主軸回転角θ、フレームの傾斜角θが15°未満となる部材の傾きを考慮しません。 ねじり剛性計算時は部材の主軸回転角θ、フレームの傾斜角θがθ≦15°、θ≧75°となる部材も傾きを考慮します。

参考
【出力】
【グラフィック出力】
出力項目:10.5.3 剛性バランス
 考慮した KR(捩り剛性)の結果を確認できます。

【CSV形式ファイルの詳細出力】
[耐震診断]→[CSV形式ファイルの出力]→[偏心率、剛性率の一覧] より
 計算に考慮した部材の割線剛性、剛心からの距離を確認できます。

【参考】
2017年版既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準 同解説
平成29年7月1日2017年改訂版発行
  項目:【解説】3.3.3剛性分布の計算方法(1)部材剛性の割線剛性(2)B法による場合(ⅱ)剛心まわりの捩り剛性の計算

2017年版既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準 改修設計指針 適用の手引き
平成29年7月1日2017年改訂版発行
  項目:4.複雑な形状の開口や腰壁・垂れ壁・袖壁の付く柱を含む架構についての留意事項
     4.7架構の平面的な傾斜による角度補正

Q&A集『2017年改訂版 既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準・耐震改修設計指針・同解説 質問・回答集(2018.12.25)』
   項目:39及び別冊

DOC-RC/SRC Ver.10 概要編マニュアル
2021年 3月 初刷発行
   項目:3.4.8平面的に傾斜した部材の計算



文書情報

製品カテゴリ: DOC-RC/SRC 最終更新日: 2022-11-02
バージョン: DOC-RC/SRC[ver.10.x],
文書番号: DOCR00852
分類: 計算方法


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